うろ覚えさんのための『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』ヴィラン復習 ─ これを読んでおけば大丈夫

サンドマン(『スパイダーマン3』)

本名フリント・マルコ。かつてピーター・パーカーの叔父ベンを射殺した容疑で獄中にいたが、『スパイダーマン3』の冒頭で脱獄。病気の娘を一目見るため、家にこっそり戻ってくる。しかし妻にはすっかり愛想を尽かされており居場所はない。マルコは、自分は悪人ではなく、運が悪かっただけだと言い残し、夜の街に逃げ消えていく。
どうしてヴィランになった?
警察の追手から逃げるマルコは、とっさに粒子物理研究所に逃げ込むが、そこで実験用の穴に転落し、実験に巻き込まれる。身体の分子が砂と結合したことで、砂の怪人「サンドマン」と化してしまう。

スパイダーマンとどう戦った?
砂の身体を自在に変形・巨大化できるようになったサンドマンは、砂嵐となって移動しながら、街で現金輸送車を襲う。駆けつけたスパイダーマンがパンチをお見舞いするが、拳は砂の身体を貫通して効かない。スパイダーマンは、物理攻撃がロクに通じないサンドマンに苦戦し、一度はやられてしまう。(スーツの中が砂まみれになると言う後始末の悪さ付きで)。

警察に呼び出されたピーターは、実はマルコこそがベンおじさんを射殺した真犯人であると聞かされ、怒りに駆られる。シンビオートに寄生されたブラックスーツによって攻撃的な性格になったピーターは、ベンおじさんの恨みを晴らすためにサンドマンを追い詰める。地下鉄の通行線路でサンドマンを襲撃し、怒りに任せて圧倒。サンドマンが水に弱いことに気づいたスパイダーマンが排水管の水を浴びせると、サンドマンは泥のようになってどこかへ流れていった。
やがてサンドマンは、シンビオートに寄生されてヴェノムとなったエディ・ブロックの提案で、スパイダーマンを倒すために共謀することとなる。

ヴェノムはMJを誘拐し、これを救助しようとする警察をサンドマンが妨害。巨大化した身体から拳を振り下ろすサンドマンの攻撃にスパイダーマンはなす術なく、ヴェノムの邪魔もあって全く歯が立たなかった。スパイダーマンは絶体絶命のピンチを迎えるが、心変わりしたハリー・オズボーンがニュー・ゴブリンとして援護に駆けつけたことで難を脱する。サンドマンは宙を舞うスパイダーマンとニュー・ゴブリンを捕まえようとするが、ゴブリンのミサイル攻撃を受けて崩れ落ちる。
スパイダーマンの正体がピーター・パーカーだといつ知った?
私怨にかられたピーターがブラックコスチュームを着てサンドマンを襲った際、ピーターは「ベン・パーカーを覚えているか?お前が殺した老人のことだ」と問い詰める。サンドマンは、ベン・パーカーがなぜスパイダーマンに関係しているかが分からず、「お前に何の関係があるんだ!」と聞き返すが、スパイダーマンは「大アリだ!」と叫ぶ。
その後、最終決戦でヴェノムを倒したスパイダーマンの元に、サンドマンは再登場。砂の拳を下ろすと、素顔のピーター・パーカーと向き合って会話を始める。おそらくはブラックコスチュームのスパイダーマンに「大アリだ!」と言われ悟ったか、あるいはスパイダーマンの正体を知るヴェノムに共謀を持ちかけられた際に聞かされたのかもしれない。
最後はどうなった?

サンドマンことフリント・マルコは、ベン・パーカーを殺めてしまったのは不運の偶然だったと考えており、また後悔している。マルコには病の愛娘がおり、治療のため金を必要としていた。相棒と強盗計画を実行した際、マルコは車を調達する係で、ベンおじさんから車だけを奪おうとしていた。心優しいベンおじさんは、「銃を置いて家に帰りなさい」と諭していたのだ。マルコの心も動きかけていたところ、相棒が駆け寄ってきたはずみで誤射してしまった、というのが事件の真相だった。
マルコは罪を認め、「ひどいことをしてしまった」「いつも夜になると後悔した」と打ち明け、「許して欲しいとは言わない。ただ、わかってほしかった」とピーターに話す。これを聞いたピーターは、自分もひどいことをしてしまったことがあるとし、マルコに「許すよ」と語る。するとマルコは涙を流し、砂の風となってニューヨークの朝焼けに飛び去っていった。
『スパイダーマン』3部作は、ピーター・パーカーとベンおじさんの死、その犯人の追求が物語の大きなカギとなった。ピーターがマルコを許したのは、メイおばさんに「一番難しいことから始めなさい。自分自身を許しなさい」との教えを授けられていたことが一つの伏線となっている。このシリーズは本作『スパイダーマン3』をもって完結したが、マルコを許したことによって、ピーター・パーカーはヒーローとして、そして人間として真の成長を遂げたと言えるのだ。また、許しを得たマルコのほうも、スパイダーマンに大きな恩義を感じていることだろう。
演じている俳優は誰?
トーマス・ヘイデン・チャーチ。2004年の『サイドウェイ』が評判を呼び、数々の映画賞で話題になる。『ブロークン・トレイル 遥かなる旅路』(2006)ではエミー賞助演男優賞を受賞。近作には『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』(2019)や『ヘルボーイ』(2019)がある。