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『スター・トレック』映画版、次回作は「新しい始まり」に ─ 新キャスト登場、シリーズに敬意払った独自解釈に

スター・トレック
Photo by Eva Rinaldi https://www.flickr.com/photos/evarinaldiphotography/8675254818/ Remixed by THE RIVER

J・Jエイブラムス製作『スター・トレック』新作映画(タイトル未定)が、2009年『スター・トレック』から始まった「ケルヴィン・タイムライン」から設定を一新する可能性が浮上してきた。脚本・監督を務めるノア・ホーリーが、米国メディアにて現在の方針を語っている。

2019年11月、ホーリーが『スター・トレック』の新作を手がけるという第一報が伝えられた際、新作はケルヴィン・タイムラインの流れを汲み、過去3作品のキャストであるクリス・パインやザッカリー・クイント、ゾーイ・サルダナ、サイモン・ペッグ、カール・アーバンらも続投する方針とされた。

ところが米The Hollywood Reporterにて、ホーリーは「『スター・トレック4』と呼ぶのは不適切。長年のファンとして、シリーズへの自分なりの解釈がありますから」と述べ、キャストの続投については「初期段階なので分かりません」と語った。ただし新たなキャラクターが登場することは間違いないようで、「新たな役柄は新しいキャストが演じるもの」とも語られている。

「パラマウントに行って、自分のやりたいアイデアを伝えました。なので、自分が進むのはそちらの方向です。まだまだ始まったばかりなので、具体的なことをそれ以上は言えないんですが、(従来とは)異なるものになるでしょう。」

また米Colliderでも、ホーリーは次回作を「新しい方向性」「新たな始まり」と述べた。その背景には、コーエン兄弟の傑作映画をドラマ化した「FARGO/ファーゴ」(2014-)、マーベル・コミック『X-MEN』を基にしたドラマ「レギオン」(2017-2019)などを手がけた経験が活きているようだ。それぞれに熱心なファンを持つ作品を引き継ぐにあたって、ホーリーは素材の本質を見極めることに努めていたのである。

「いろんなシリーズについて考えてから、『スター・トレック』に戻ってくると、究極のところは人間と多様性、冒険、そして敵を物理的に倒すのではなく、その裏をかくことが大切だと思うんです。[中略]コーエン兄弟に40時間の敬意を捧げ、マーベルのドラマを作る中で、人々はこれらの物語に大いなる熱意を注いでいるのだということを理解し、本物の敬意をもって扱うアプローチを取ってきました。そのうえで、(『スター・トレック』では)自分自身のストーリーを語るつもりです。ファンとしての僕は、大好きな作品の新しい物語が語られることをうれしく思う。『マトリックス』の新作は楽しみですが、もはや古い『マトリックス』は必要ありません。キャラクターが新しい形で活かされるところ、新たな人物、そういうものを観たいんですよ。」

ちなみに、ホーリーが愛してやまないのは『スタートレックII カーンの逆襲』(1982)で、「僕にとってはあれこそがスター・トレック」とまで述べているほど。「ストーリーのないアクションには興味がありません」と述べて、単なるアクション映画にする意志がないことを強調している。

2020年1月現在、ホーリーは「FARGO/ファーゴ」シーズン4の製作中。米Deadlineでは、同作を完了後、なるべく早く『スター・トレック』の脚本に入りたいとの意向を示している。なお、『スター・トレック』シリーズは「スター・トレック: ディスカバリー」(2017-)や「スター・トレック:ピカード」(2020-)などテレビシリーズも製作されているが、パラマウントから「映画とテレビを繋げるようにという指示はない」という。「みなさんに愛されている部分を意図せず変えることはしません。だからリサーチをすることが大切なんです」

第一報はこちら

Sources: The Hollywood Reporter, Deadline, Collider

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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