【ネタバレ】「ストレンジャー・シングス」シーズン4、マックスの曲が意味することとは? ─ 親愛なるビリー、義兄への想いに着目

この記事には、「ストレンジャー・シングス」シーズン4のネタバレが含まれています。

親愛なるビリー
「ストレンジャー・シングス」シーズン3ではマックスの義兄、ビリーがマインド・フレイヤーに心と体を支配されながらも、エルのおかげにより最後には正気を取り戻し、自らの命を犠牲にしてまで子供たちを怪物から救った。マックスに過ちを認める姿まで描かれており、これまでにはなかったビリーの繊細な感情が溢れ出ていたのだ。
それから半年以上が経ったシーズン4では、義兄を目の前で失い悲しみに暮れていたマックスが、かつてのボーイフレンドであるルーカスと別れ、マイクやダスティンら友人たちとも距離を置き、ウォークマンで音楽を聴きながら塞ぎ込む姿が描かれている。そんな中、ホーキンスでは若者たちが次々と不可解な死を遂げていった。宙に浮かび、全身の身体を折られ、そして眼球を潰されるという残酷な死を遂げていく。
その若者たちが共通して経験していたのが“幻覚”。これはヴェクナという闇の魔術師による仕業で、人間たちが抱える心の闇につけ込み、そこに呪いをかけていたのだ。いずれもマックスと同じく、ホーキンス・ハイスクールでカウンセリングを受けていた生徒たちであることが判明し、マックス本人もその脅威に追い詰められていく。

マックスはルーカスやダスティン、スティーブ、ロビン、ナンシーらとともにヴェクナの正体、そしてその呪術を解く方法を探ることになった。第4話「親愛なるビリー」では、マックスがビリーの墓の前で義兄のために書いた手紙を読み上げていく。手紙を読み終えると、周囲が一瞬にして暗くなり、マックスはヴェクナによる呪術で、ビリーの幻覚を見せられてしまう。
そんな彼女を丘の下で見守っていたスティーブ、ルーカス、ダスティンはすぐさま異変に気付き、丘を駆け上っていく。いくら声をかけても白目を向いたまま意識が戻らないマックス。そこでダスティンは、別行動で事件を調査していたナンシーとロビンから、「言葉が届かなくても、音楽なら届くのかもしれない」と彼女を救う方法を教えてもらう。マックスの好きな曲を流し聞かせると、ついにルーカスたちの声が届くようになり、マックスはなんとかヴェクナから逃れることに成功。そしてかけがえのない仲間たちがいる、現実世界へと戻っていくのだった。
マックスを現実世界へと引き戻した曲というのは、イギリスのシンガーソングライターであるケイト・ブッシュの「神秘の丘 (英題:Running Up That Hill)」。注目したいのは、「And if I only could, I’d make a deal with God. And I’d get him to swap our places」という歌詞だ。これは、「もしも叶うならば、神様にお願いして、私たちの場所を入れ替えてもらいたい」という意味で、まさにマックスがビリーの死に対して感じている罪悪感や責任感を物語っている歌詞と言えるだろう。実際、マックスがビリーに読み上げた手紙のなかにも、「あの瞬間を何度も思い出す。たまに想像するの。走り寄って、助ける自分を。[中略]でも現実は違った。私は1歩も動けず、見てただけ」という言葉が綴られていた。マックスの想いと大きく繋がっているわけだ。
さらにこの楽曲の英題を直訳すると、“あの丘に駆け上がる”となる。マックスを助けるため、ルーカスらが丘を駆け上っていく姿とも重なるわけだ。ケイト・ブッシュによる美しい歌声が呪術を解き、マックスのもとに大切な仲間たちの声が届く。そんな癒やしの瞬間に涙した視聴者も多いのではないだろうか。なお同様の点は、米Screen RantやElleなども着目している要素であり、世界中を感心させた選曲と言えるだろう。
ちなみにシーズン4の配信をきっかけに、この名曲「神秘の丘 」は、iTunesチャートで1位に急浮上したようだ。
Netflixシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン4:Vol.1は配信中。Vol.2は7月1日(金)より配信開始。
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Source: Screen Rant , Elle , Deadline