【インタビュー】私にとっての「恐れ」とは、ベストを尽くせないことだけ ─ 『スタントウーマン』ハイディ・マニーメイカー

『トゥルーライズ』(1994)『マトリックス リローデッド』 (2003)『ワイルド・スピード』シリーズをはじめ、映画史に残るアクションシーンに迫るドキュメンタリー映画『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』が公開中だ。
スタントウーマンたちの証言で紡ぎだすドキュメンタリー。息を呑むような名シーンの数々を彼女たちはいかに作りあげてきたのか。スタントウーマンたちの日々の鍛錬の様子やスタントウーマンの歴史を通して、ハリウッド映画の最前線で活躍するプロフェッショナル達の姿を映し出していく。
名だたる作品たちで活躍したスタントウーマンが登場する本作から、THE RIVERではハイディ・マニーメイカーへメールインタビューを敢行。ハイディはレネーと共に「マニーメイカー姉妹」として知られ、現代のアクションシーンには欠かせない存在だ。来たるマーベル映画『ブラック・ウィドウ』でも、スカーレット・ヨハンソンのスタントダブルを務めている。
そんなハイディは本日2月9日が誕生日。これを祝して、彼女へのインタビューをお届けする。簡潔な回答ながら、彼女のストイックさがギュギュっと詰まった内容となっている。

『スタントウーマン』ハイディ・マニーメイカー インタビュー
──本作『スタントウーマン』をご覧になってのご感想を教えてください。
映画の撮影のときと同じような感覚がありました。編集や監督がどう見せるかは、(本編を観るまで)分からないもの。いつも驚かされます。
──今までで行ったスタントで最も苦労したものは何ですか?
一番チャレンジングだったのは、『ザ・ホスト 美しき侵略者』のカースタントですね。車で宙返りして、4回転がったんですよ。
※実際の映像がこちら
──それでは、今までで最もお気に入りのアクションシーンは?
『エンジェル ウォーズ』(2011)っていう映画なんですけど、日本刀を持って、漢字とアニメキャラが刻まれた銃を持っていて。あのファイトシーンは気に入ってますね!アニメのキャラクターになれたみたいで。
──スタントを行うで常に心がけている事は何ですか?
振り付けやスタントをしっかり身につけて、ファーストテイクから完璧にやろうとしています。自分の納得がいくまで(撮影が)出来ないこともありますからね。
──本作『スタントウーマン』では、女性スタントパフォーマーが地位を確立するまでの歴史が描かれています。実際に女性スタントパフォーマーをめぐる環境の変化は感じていますか?
映画の女性スタントパフォーマーにもっと機会が与えられるべきだと思います。私は常にベストを、自分にとってのベストを尽くそうと考えていたので、性別が問題になったことはありません。本作のような映画が人を啓蒙して、結果としてより多くの機会に繋がると考えています。
──劇中では、スタントを行うにあたって「恐怖心が必要」といったことが語られていました。常に危険と隣合わせのスタントパフォーマーとして、恐怖心とはどのように付き合っているのでしょうか?
私にとっての「恐れ」とは、ベストを尽くせないことだけです。
──言える範囲で構いませんので、間もなく公開の『ブラック・ウィドウ』でのアクションについて、期待すべきところを教えて下さい。
具体的なことは言えないんですけど、アクションたっぷり、女性エンパワーメントな映画になっていますよ。
──演じるキャラクターによって、アクションの所作を変えるものでしょうか?
常に変えています。同じキャラクターであっても変えます。常にベストを求めていますので。人生と同じですね。
──スタントパフォーマーとして、一番のやりがい、喜びはなんですか?
いろいろなキャラクターを演じられることです。どの映画も新鮮で楽しい。それに、大規模なアクション撮影で大規模なスタントをやるときのワクワク感が、大好きなんですよね。
──スタントパフォーマーを志すきっかけは何でしたか?
もともと運動系でしたし、演技も楽しんでいて。たまたま映画やドラマでスタントをやる機会がちょっとあって、それからハマりました。
──スタントパフォーマーを志す人がいたら、なんと声をかけますか?
良く鍛えて、良い防護パッドを着けて。そして人に優しく、謙虚に。
──今後の目標はなんですか?
アクション監督になりたい。あと、愛犬といっぱい一緒にいたい。

映画『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』公開中。