「スパイダーマン」筆頭のマーベル独自ユニバース、「今後7~8年の計画がある」 ─ 米ソニー、映画・テレビで展開する方針

大人気ヒーロー「スパイダーマン」をはじめとする、マーベル・コミックのキャラクターの映像化権を有する米ソニー・ピクチャーズが、自社独自のマーベル・ユニバースを映画・テレビの両面で展開する方針を改めて強調した。
米Varietyの取材にて、ソニー・ピクチャーズの会長兼CEOであるアンソニー・ヴィンシクエラ氏は、自社が権利を有するキャラクターの計画を改めて語っている。トム・ハーディ主演で大ヒットを記録した『ヴェノム』(2018)を皮切りに、ソニーは「スパイダーマン」から派生した企画を多数準備中。一連の作品群は、内部で「Sony’s Universe of Marvel Characters(SUMC)」と呼ばれているという。
「今後7~8年間、映画だけでなくテレビでも(マーベル・キャラクターを)どのように展開するかという計画があります。テレビ部門にも、我々が開発しようとしているユニバースのキャラクターが登場することになります。」

ディズニーによる20世紀フォックスとの事業統合完了がいよいよ間近に迫るなか、ソニーはマーベルにとって、自社キャラクターの映像化権を有する“ライバル企業”となりつつある。『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)や『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)などでスパイダーマンがマーベル・シネマティック・ユニバースに合流しているのは、マーベル・スタジオとソニーが業務提携を結んでいるがゆえなのだ。
ディズニー/マーベルとソニーの契約状況について全てが明かされているわけではないが、ソニーは現在、900を超える「スパイダーマン」関連キャラクターの権利を保有しているという。ソニーは自社のユニバースで活躍するヒーローやヴィランを、長大な“候補者リスト”から選出することになるわけだ。
ひとまず『ヴェノム』に続くのは、ジャレッド・レトが主演を務める『モービウス(邦題未定、原題:Morbius)』。同作は2020年7月31日の米国公開を目指し、ただいま撮影のまっただなかにある。その後も多数の企画が控えており、スパイダーマンの宿敵であるヴィラン・チーム「シニスター・シックス」のスピンオフ企画も存続しているということだ。
一方、ソニーのテレビ部門でも多数の企画が進められているようだ。ソニー・ピクチャーズ・テレビジョンのマイク・ホプキンス会長いわく、同社チームは「マーベルに関連する多数のコンテンツを開発している」とのこと。しかも思いのほか、企画の発表は早期に行われることとなりそうだ。
「非常に大きな、私たちに変化をもたらす企画をもうすぐ公表することになります。これまで私たちは、マーベルの知的財産(IP)を使用したテレビ番組を製作していませんから。いま、大作の開発に取り組んでいるんですよ。」
スパイダーマンの独自企画といえば、ソニーはアニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』を大ヒットさせ、アカデミー賞やゴールデングローブ賞を射止めるなど極めて優れた成果をあげることに成功した。2019年1月には、テレビアニメとして同作のスピンオフ作品が製作されるとの報道もあったほどだ。同企画の現状は不明だが、ソニーによる「今後7~8年の計画」には『スパイダーバース』の続編やスピンオフ企画も少なからず含まれていることだろう。

ちなみにホプキンス会長は、自社独自のマーベル・ユニバースにおいて「お互いに関係しあえるテレビ番組をいくつか作りたい」との意向を示しており、作品づくりを実現するパートナーを求めていることも明らかにした。会長は、将来的にディズニーとタッグを組む可能性、その他の企業と連携する可能性をともに示唆している。
果たしてソニー・ピクチャーズは、「スパイダーマン」をはじめとするキャラクターをいかに展開し、どんな物語を、どんな表現を見せてくれるのか。『ヴェノム』そして『スパイダーマン:スパイダーバース』を経て、期待はいやおうなしに高まるばかりだ。
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Source: Variety