ドラマ『スワンプシング』が早くも打ち切り、税金控除に認識ミスか ─ どうなる米DCユニバース、独自の映像配信サービスで苦戦

米ワーナー・ブラザースとDCコミックスが米国内で独自に展開する映像配信サービス「DCユニバース(DC Universe)」で、2019年5月31日(現地時間)に第1話が配信となったばかりのドラマ『スワンプシング(原題:Swamp Thing)』が、早くもシーズン1をもって打ち切り終了となることがわかった。『死霊館』シリーズや『アクアマン』(2018)のジェームズ・ワンが製作総指揮を務めるほか、実力派制作陣が結集しての作品だったはずだが、なぜ終了するのか。
税金控除の手続きミスか
打ち切り原因のひとつとされるのが、ロケ地となったノースカロライナ州で約束されていた3千数万ドルの払い戻し税金が減額されてしまったこと。その理由は、あろうことか事務手続きのミス。ジャーナリストのジョン・ゴールソン氏によれば、払い戻し額はおよそ1,400万ドルにまで減額となったという。『スワンプシング』1シーズン分の制作予算はおよそ8,000万ドルとされているから、制作側にとって大きな痛手となった。
一方、ノースカロライナ州側はこれを否定している。North Carolina Film Officeのガイ・ガスター氏が米CBRに説明したところによると、パイロット・エピソード製作に490万ドル、シーズン1の残り全話に1,200万ドルの税金控除で双方の合意を得ていたという。ちなみにこの1,200万ドルという数字は、そもそも州法によって定められた1シーズンあたりの最大控除額だそう。
ノースカロライナ州側の弁明が正しいと見れば、3千数万ドルの控除を見積もっていたという製作側に大きな誤認があったということになる。最も、製作側からの意見が取られていないため、この時点で両者間の誤認についてあれこれ言うことはできない。
「DCユニバース」に見直し求められる
『スワンプシング』終了の裏にはもうひとつの見立てがある。AT&T社がタイムワーナー社を買収したことにより、首脳陣が「DCユニバース」の見直しを求めているというのだ。DCコミックス原作の映像作品ラインナップはもちろん、電子版コミックも楽しめるファン待望のサービスとして始動した「DCユニバース」だが、首脳陣は登録者数の伸び悩みに気をもんでいるという。また、『スワンプシング』はもともと全13話構成で予定されていたにもかかわらず、製作真っ只中に10話への縮小が強いられたという不遇もあった。決して一般認知度の高くないキャラクター、ホラー要素の強いニッチな作品とあって、残念ながら足切りにあったと見ることもできる。
『スワンプシング』の評価は上々で、米Rotten Tomatoesでは92%の高得点で発進していた。まだ第1話が配信になったばかりの時点で早くも見切りをつけられ、ファンの間では困惑の声が広がっている。映像配信サービス界では、間もなく「Disney+」が到来。2019年11月に米国でスタート予定のこのサービスは、近寄る足音だけで業界に地響きを起こしているような巨人だ。果たして「DCユニバース」の将来やいかに。
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Source:Collider,Bloody Disgusting,@gholson,Deadline,CBR