クリストファー・ノーラン弟、『ダークナイト』予告編にローリング・ストーンズの楽曲を推していた ― 監督は興味示さず

クリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』3部作は、今や映画史に残る傑作として絶大な人気を誇ってい。この3部作になくてはならない存在だったのが、映画音楽界の巨匠ハンス・ジマーが作り出した音楽だ。ノーラン監督とジマーは、このほかにも『インセプション』(2010)や『ダンケルク』(2017)でタッグを組んでいる名コンビである。
しかし『ダークナイト』3部作の脚本を執筆した、クリストファーの弟であるジョナサン・ノーランは、その音楽について少々違うアイデアを持っていたようだ。

「ローリング・ストーンズ“Paint It, Black”を予告編に」
このたびジョナサンは、米国の掲示板サイトRedditにてファンからの質問に応答。『ダークナイト』3部作いずれかの予告編にローリング・ストーンズの楽曲“Paint it, Black”を使用するよう提案していたことを明かした。
「僕は兄と一緒に何年も映画を作ってきましたけど、兄はポピュラー音楽を使うことに一度も乗り気じゃなかったですね。もちろん理解できますけど。彼がハンスと一緒に作ってきた音楽は本当に美しくて、どの瞬間にも、それ以上何も必要としないほど深い意味を生んでいました。
それでも僕には、いつも映画に使える音楽のアイデアや考えがあったんです。音楽を聴きながら脚本を書いていたので[中略]、映画に合う曲の長いリストをいつも持っていましたね。たとえば、“Paint It, Black”をバットマンの映画の予告編に使うよう10年間説得し続けたりして。」
“Paint It, Black”はローリング・ストーンズが1966年に発表した楽曲で、スタンリー・キューブリック監督作品『フルメタル・ジャケット』(1987)にも使用されている。それゆえジョナサンは「すごく象徴的な曲で、過去にも使われているので、彼(クリストファー)が興味を示さなかったのもわかります」とも記した。
ちなみに“Paint it, Black”が『ダークナイト』3部作の予告編で使われることはなかったが、その後、ジョナサンは自身が手がけるドラマ「ウエストワールド」(2016-)で同楽曲を独自にアレンジして使用している。
ところでヒーロー映画では、近年、懐かしのポピュラー音楽を予告編に使用することが一種のトレンドだといってもいいだろう。たとえば『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)ではブルー・スウェードの“Hooked on a Feeling”、『スーサイド・スクワッド』(2016)ではクイーンの“Bohemian Rhapsody” 、そして『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)ではレッド・ツェッペリンの“Immigrant Song”が使用された(同曲は本編にも印象的な形で登場する)。いずれも映画の雰囲気を形作るのに一役買った選曲だといえよう。もしも『ダークナイト』3部作の予告編で“Paint it, Black”が使用されていたら、どんな雰囲気の映像に仕上がっていただろうか。ちょっと見てみたい気もする……。
映画『ダークナイト』3部作、クリストファー・ノーラン監督による最新作『ダンケルク』のブルーレイ&DVDは発売中。