ジョージ・A・ロメロ監督の未発表映画、予告編が米公開 ─「ロメロ史上、最も恐ろしい映画」

『ナイト・ オブ・ザ・リビングデッド』(1968)『ゾンビ』(1978)などのジョージ・A・ロメロ監督による幻の未発表映画、4Kリストア版『The Amusement Park(原題)』より米国版予告編が公開された。
本作は所在不明とされていたが、2018年11月、ギレルモ・デル・トロのコラボレーターであるダニエル・クラウスが本作を鑑賞したことを自身のTwitterで報告し、その存在が明らかになった。主演を務めるのは、『マーティン/呪われた吸血少年』(1977)で知られる俳優、リンカーン・マーゼル。主人公の老人が遊園地でごく普通に一日を楽しもうとするも、いつの間にか地獄のような悪夢の渦中にいることに気付くという筋書きだ。以前の報道では、アメリカで歳を重ね、苦痛・悲劇・屈辱感と共に混乱や孤独感が増していく老人の姿が描かれるとも伝えられていた。
予告編では、リンカーン・マーゼルふんする老人が遊園地に訪れるも、全く気晴らしにはならず、どこか悪夢に悩まされているような姿が次々と捉えられている。おなじみのゾンビは登場しないと思われるが、遊園地での様々な体験は、社会で高齢者が直面する悲惨な出来事の比喩となっていそうだ。
なお、『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』と『ゾンビ』の間に製作されたという本作はもともと年齢差別や高齢者虐待について、世間の認識を高めるために企画された作品。クラウスによると、本作がお蔵入りとなってしまった理由は、ロメロ監督があまりにも過激に当時の社会情勢を描いたことにあるとのことだ。ロメロ監督の妻も本作について、「ホラー映画ではありません」としながら、「ジョージが手掛けた中で最も恐ろしい作品」と自信を滲ませていた。
『The Amusement Park(原題)』は、ホラー映画を専門とする米配信媒体「Shudder」にて、2021年6月8日に米配信予定。
Source: IndieWire