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クリント・イーストウッド、2019年元旦記念メッセージ ─ 実話新作『運び屋』は「想像力で作り上げた」

運び屋
©2018 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

『許されざる者』(1992)『ミリオンダラーベイビー』(2004)でアカデミー賞®に輝く、巨匠クリント・イーストウッドの新作映画『運び屋』が2019年3月8日(金)に全国公開される。

このたび2019年の元旦を記念して、『グラン・トリノ』(2008)以来10年ぶりに監督&主演を兼任するクリント・イーストウッドからスペシャル・メッセージが到着した。前代未聞の実話を自らの主演で映画化した、『運び屋』完成までの軌跡とは?

イーストウッドが語る『運び屋』製作の経緯

最新作『運び屋』でイーストウッドが演じるのは、月に100キロ以上の麻薬を運び、“伝説”の運び屋と呼ばれた男アール・ストーン。家族と不仲で孤独な老人が自宅を差し押さえられた時、車の運転さえすればいいという仕事を持ちかけられる。しかし、その仕事とは麻薬カルテルの「運び屋」だった……。

映画化の出発点について、イーストウッドは「脚本が先だった」と語る。『グラン・トリノ』(2008)の脚本家ニック・シェンクによる脚本を読み、「面白いと思った。物語のエピソードを広げることもできる」と感じたイーストウッドは、2014年6月にニューヨーク・タイムズに掲載された記事「シナロア・カルテルの90歳の運び屋」の映画化権を取得。記事を基に脚本を作り上げていった。

イーストウッドを惹きつけたのは“前代未聞の実話”だった。実在する主人公について、イーストウッドはこのように語る。

「一度だけ法を犯した時に成功してしまったらどうなるのか。彼は高齢の男性だから、車を運転しても疑われない。停車して人助けをしたり、お金を与えたりしたりしていて、どこか慈善家でもある。それでも続けていくと多額の金が舞い込むようになる。最初は彼自身も、何をやっているのかあまり理解していないんだ。」

イーストウッド自身、88歳になった現在も車を運転するという。アールのモデルとなったレオ・シャープは、逮捕時は87歳で、その後90歳で亡くなった。本人とは会えなかったものの、イーストウッドは「映画に登場するような彼を想像できた」という。「彼が実際にそうしたのか、その時間があったのかはわからない。彼はひとりで運転して旅するのが好きだった。私も一人旅が好きだから、そこが共通点だ」。

運び屋
©2018 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

アールは麻薬を運ぶことで多額の報酬を手にしていたが、孫の結婚パーティや退役軍人クラブを助けるなど、人のために金銭を使っていた。犯罪行為については「年配も含め誰もが真似すべきじゃない」と述べるイーストウッドだが、「それでも物語は面白い。高齢の恩恵か、誰もが彼を信じてしまう。彼は年寄りで目立たないし、トラックを運転しているだけだから、誰も気に留めない。それがブツの運び屋として他人に勝る利点だったんだ」と語る。「彼はいずれにしても車で旅に出るつもりだったから、大金を稼げれば一石二鳥だった」。

映画監督、俳優としての想像力を信じるイーストウッドは、実際のレオ・シャープの行動について「リサーチする必要はまったくなかった。想像力で作り上げた」と言い切る。

「多くの映画は想像力で作られる。架空の人物を考えるのと同じことだ。年配の男がトラックを運転してアメリカを縦断する。麻薬を運ぶ以外、何を作りたいのかは想像力にかかっていた。映画を撮り、演技をするたびに、何かを学んでいくものだ。ストーリーを語り、演じ、冒険をし、問題を解決することでね。それらすべてを通して、自分自身の感覚や感情を抱き、実際の人生で自分がどうするかを考える。だからこそ、この仕事はとても魅力的なんだ。」

運び屋
©2018 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

『運び屋』には、“時間”という誰にも共通するテーマがある。人は、永遠には走れないのだ。

「アールは自分の家族を幸せにできていないことを知っていて、もう一生許してもらえないかもしれないと気づいている。それは強烈な一撃だ。私たちはいつも、まだ時間があると考える。だが、ないのかもしれない。あるのかもしれない。アールにさえ、あるのかもしれない。」

映画『運び屋』は2019年3月8日(金)全国ロードショー

『運び屋』公式サイト:http://www.hakobiyamovie.jp

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THE RIVER編集部THE RIVER

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