『死霊館のシスター 呪いの秘密』主人公アイリーンはなぜ戻ってきた? ─ 元凶ヴァラクとの再会、プロデューサーが予告

大ヒットホラー「死霊館」「アナベル」シリーズが早くもカムバックだ。
最新作『死霊館のシスター 呪いの秘密』が2023年10月13日(金)より公開を迎える。本作ではすべての呪いとポルターガイストの元凶となった“シスター ヴァラク”の最恐の真相に迫る。
1956年に起こった神父殺人事件をきっかけに、悪が蔓延。特殊な能力を持つシスター・アイリーンは教会の要請を受け、事件の調査に乗り出す……。
『死霊館のシスター』(2018)から再びヴァラクと対峙することになるアイリーン。あれだけの恐怖を味わったにもかかわらず、なぜ戻ってきたのか。そもそもシスターとは何者なのか。THE RIVERでは、「死霊館」ユニバースを率いるプロデューサーのピーター・サフランのオフィシャル・インタビューを入手。一足早く、新たな恐怖の中身を覗いてみよう。
『死霊館のシスター 呪いの秘密』製作 ピーター・サフラン オフィシャル・インタビュー

── マイケル・チャベス監督はシリーズ3作目『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』(2021)の監督も務めました。また、『死霊館のシスター』(2018)は「死霊館」ユニバース作品のなかで最も大きな成功を収めた作品です。今回はチャベス監督に『死霊館のシスター 呪いの秘密』を任せましたが、この象徴的なホラーの次章に彼が適役だった理由は?
『ラ・ヨローナ ~泣く女~』(2019)でマイケルはすばらしい仕事をしたと思いました。あの映画の恐怖は驚異的でした。そこで彼に「死霊館」ユニバースにも携わってもらおうと思いました。ジェームズ・ワンが「死霊館」シリーズの母体作品群の監督から退いた後の初監督として、マイケルはその大きな穴を埋める役割を担ってくれました。マイケルは才能あふれる人だと知っていましたし、「死霊館」シリーズ3作目ではすばらしい仕事をしてくれていました。
パトリック(・ウィルソン)とベラ(・ファーミガ)は彼との仕事をとても楽しんでいました。マイケルは思慮深くアイデアにあふれた映画監督で、キャラクターに深く根ざした表現をしながらも、独特の恐怖をつくることを好む。実は『死霊館のシスター 呪いの秘密』にはすばらしい脚本があり、マイケルが唯一の監督候補でした。一連の映画のファミリーとして一緒に制作を続けてくれることを願っていましたし、彼は本当に多くのものをもたらしてくれました。
新聞売り場をはじめとする『死霊館のシスター 呪いの秘密』に出てくる印象的な恐怖シーンは彼のアイデアです。すでにすぐれた脚本に、彼は多くのものを付け加えていってくれました。彼の性格が好きで、映画制作のスタイルも好きです。スタッフとも非常にうまくやっていました。超常現象スリラーのジャンルでは、まさにパーフェクトな映画監督だと思います。『死霊館のシスター 呪いの秘密』で彼は約束したことをすべて果たしてくれたと思います。
── シスターとは一体何ですか?宗教学校における風紀委員のような存在だという話を聞いたことがありますが、それを別の次元で捉えているようです。シスターの姿をしたこの存在を、観客はどう捉えていると思いますか?

究極の悪が究極の善をもつ存在の体に憑依するという発想だと思っています。シスターという存在は臆面もなく善のために尽くすもので、邪悪なものはシスターの姿を借りることによってその善良さをあざ笑っているんじゃないでしょうか。それに人々は強く共感してくれたのだと思います。実際、多くの人がシスターをとても恐れていると思います。でも超常現象スリラーの観点から考えると、善の典型であるべきものに悪が埋め込まれているというアイデアは、まさに冒涜的で説得力がありますよね。
──タイッサ・ファーミガは、2作目でヴァラクから命からがら逃げ延びたシスター・アイリーンを再演しています。今作の物語において、なぜ彼女は危険な場所へ戻ってきたのでしょうか?
ヴァラクと初めて対峙したときに死にかけたシスター・アイリーンは、この状況に戻ってくることを非常にためらっています。最初のシーンで枢機卿は「戻って来るべきだ」とアイリーンに伝えるけれど、アイリーンは「戻りません」ときっぱり断ります。でも自分がヴァラクに対峙して生き延びた唯一の人であり、少なくとも一度は戦いのなかで悪魔を打ち負かしたことに気づくなかで、善のためには自分がやらなければならないと彼女は悟っているのだと思います。1作目では見習いだったアイリーンは、今作ではシスターであり、善のために戦うことは彼女にとって義務なのです。究極の悪をかたちづくる存在と再び戦わなければならない状況になり、当然恐怖は感じるものの、自分の義務感はそれに勝ることができると悟ったのだと思います。

──フレンチーもモリースという名前で再登場しますが、彼も前回の戦いで勇敢に生き延びた人です。再登場にはどのような重要性がありますか?
モリース(ジョナ・ブロケ)は、エド(パトリック・ウィルソン)とロレイン(ベラ・ファーミガ)のウォーレン夫妻が登場する『死霊館』のあの古い映像のなかで紹介されたリアルな役柄にもとづいていました。モリースの物語のアイデアを気に入っていましたし、彼がエドとロレインの調査を受ける1960年代後半から1970年前半以前の彼の物語を描きたいと思っていました。それがいつかはできると分かっていました。
しかし、その間に何が起こるのかは明らかになっていませんでした。今、彼は悪魔から生き延びルーマニアにいるけれど、この後何が起こるのかと考えたとき、彼に着いていくというアイデアを私たちは気に入りました。また、観客はシスター・アイリーンとモリースの関係に強く惹きつけられていました。ふたりにはロマンチックな関係性はないけれど、お互いが大好きで尊敬し合っている間柄です。『死霊館のシスター 呪いの秘密』は、それから数年後を舞台としています。モリースはルーマニアを離れたけど、まだヨーロッパにいます。そして悪い出来事が起こり始めるんです。
3人組の3番手としてシスター・デブラ(ストーム・リード)を登場させるというのは、アケラ・クーパーのアイデアでしたが、すばらしいと思いました。シスター・デブラはアイリーンやモリースとはまったく異なる視点をもっています。それは調査を通して明らかに描かれていると思いますし、デブラは最終的に大きく成長しますが、それぞれ大きく違う人間だというところが大好きで、3人が一緒にいることはこの映画に新たな面をもたらしていると思います。

──またこの映画では、南フランスの舞台もすばらしいです。なぜこの場所は『死霊館のシスター 呪いの秘密』にぴったりだったのですか?
フランスは明らかにカトリックが色濃い国です。フランスにはすばらしい教会や大聖堂があります。歴史も長く、何世紀も昔から存在する建築物もあります。建物は完璧に維持されていないこともあるけれど、フランス南部のある地域では、老朽化しつつも美しい情景が存在しています。建築当時の輝きや美しさは失われていますが、かつて存在していた壮大さを垣間見ることができます。
フランス中の様々な地域や村々をロケハンで巡りました。聖マリア学校のロケ地として、本作でまさに望んでいた旧修道院かつ元女子学校だった場所を見つけたとき、どこで撮影するべきかが明確になりました。そこがロケ地の中心となり、何日もそこで撮影しました。さらに、あまり離れていないマルチーグには、すばらしいスタジオがありました。本作のロケ地はどうあるべきかが突然決まり、エクサン・プロバンスやタラスコンの実際のロケ地で撮影を行いました。
映画を観ると、何百年も変わっていないような(もちろん映画の舞台となった1956年からは変わっていない)昔ながらの街並みをリアルに感じられると思います。そのリアルさや怖さをすばらしく美しい情景とともにスクリーン上で描く最高のチャンスでした。またルーマニアで撮影した1作目とは違う感覚をもたらすことも大切でした。光や建物の色の違いに加えて、雰囲気やトーンの違いを出したかったのです。だからフランスでロケ撮影をすることは理にかなっていました。加えて、フランスにはすぐれた映画制作のコミュニティと歴史があります。現地に行って、美術・衣装・スタント・視覚効果などのフランスの職人たちを雇えたのはすばらしいことでした。彼らはとても素敵なかたちでこの映画を受け入れてくれました。

──さまざまなジャンルでの経験をお持ちですが、ホラーは映画館の暗闇の中でみんなと映画を観る体験に最適なジャンルのひとつです。『死霊館のシスター 呪いの秘密』を観に行くとき、ファンはどんなことを期待できますか?
各映画を“死霊館”の名前を引き継ぐのにふさわしい作品にすることを大切にしているので、何かから派生したものだと感じさせない、本当に独自の物語にしたいと考えました。また過去作から離れ、変化を加えるというアイデアを気に入っています。その結果、今回はより調査的なものになりました。
第3幕では物語が重なり合い、エキサイティングなフィナーレを迎える。恐怖のシーンは、以前の作品群から派生したものではなく、新鮮な怖さを感じられるようにしたいと考えていました。いつでもそうですが、今作でも俳優陣は素晴らしい演技をしてくれると分かっていました。タイッサ(・ファーミガ)は常に完璧ですし、ストーム(・リード)はすばらしいです。ジョナ(・ブロケ)とアナ・ポップルウェル(教師のケイト役)も最高です。ケイトリン・ローズ・ダウニー(ケイトの娘ソフィー役)はただただすばらしく、ほかのすべての女性役も最高でした。
真の危険さ、すばらしい役柄、ユニークな恐怖などすべての面を完遂し、“死霊館”の名前にふさわしい作品になるようにするのが私たちの仕事でした。マイケル・チャベスはそのすべてを見事にまとめ上げてくれました。観客は『死霊館のシスター 呪いの秘密』を心から楽しんでくれると思います。
映画『死霊館のシスター 呪いの秘密』は、2023年10月13日(金)全国公開。史上最恐のホラーエンターテインメントの開幕まであと少し……。