『マイティ・ソー/ラブ&サンダー』撮影に「マンダロリアン」の最新技術を投入、従来よりもパワーアップ

『マイティ・ソー』シリーズの最新作『マイティ・ソー/ラブ&サンダー(原題:Thor: Love and Thunder)』に、『スター・ウォーズ』のドラマシリーズ「マンダロリアン」(2019-)で話題を呼んだ最新の撮影技術が導入されることがわかった。米The Hollywood Reporterが報じている。
『マイティ・ソー/ラブ&サンダー』に使用されるのは、「マンダロリアン」のために開発された「ステージクラフト(Stagecraft)」と呼ばれる技術。スタジオに高さ約6メートル、270度方位の巨大な半円筒型LEDスクリーンを設置し、俳優陣はその内側で演技をするのだ。スクリーンには3DCGで描画された背景が映し出され、この背景映像はカメラの角度に沿ってリアルタイムで描き直され、ピクセル単位の調整が行われる。内部の演技スペースも直径で約23メートル確保されるため、実物の美術や小道具も配置可能。“まるで実物のような背景”と、まぎれもなく実物の俳優&セットを融合させながら撮影できるのだ。
インダストリアル・ライト&マジック(ILM)社が技術の粋を結集したステージクラフトは、撮影中や撮影後の予算や時間の節約に大きく貢献。「マンダロリアン」シーズン1は全編の半分以上がこの技術のもとで撮影された。現在はマンハッタン・ビーチ・スタジオにしか存在しない設備だが、今後、ILMは同スタジオに2つ目の設備を追加するほか、イギリス・ロンドンのパインウッド・スタジオ、オーストラリアのFOXスタジオにも同様の設備を用意する。
『マイティ・ソー/ラブ&サンダー』が使用するのは、このうち、撮影が行われるオーストラリアのFOXスタジオに出現するステージクラフトだ。脚本・監督のタイカ・ワイティティは「マンダロリアン」シーズン1の最終話を手がけたため、すでにこの技術を実際に使用した経験を持つ。なお、各所に設営される新たなステージクラフトは既存の設備より巨大なものとなり、LEDパネルも増量、さらに優れた解像度を実現するという。
ILMはステージクラフトを今後さらなる映画・ドラマに活用する方針で、ユアン・マクレガー主演によるオビ=ワン・ケノービのドラマシリーズ(タイトル未定)にも導入される模様。ジョージ・クルーニー監督の最新作、Netflix映画『The Midnight Sky(原題)』にも同様の技術が提供されたという。
映画『マイティ・ソー/ラブ&サンダー(原題:Thor: Love and Thunder)』は2022年2月11日に米国公開予定。撮影は2021年初頭にオーストラリアで始まる予定だ。出演者はクリス・ヘムズワース、ナタリー・ポートマン、テッサ・トンプソン、クリスチャン・ベールほか。
Sources: The Hollywood Reporter, ILM