『タイタニック』感動深まる裏話・トリビア集 ─ 日本人乗客の存在、ラストの時計の切ない理由

レオナルド・ディカプリオ主演、ジェームズ・キャメロン監督による『タイタニック』(1997)は、当時では史上最高額となる200億円超の予算が注ぎ込まれたスペクタル巨編。20世紀初頭に発生した“決して沈まない船”タイタニック号の沈没事故と、そこで生まれた儚いロマンスは、公開から20年以上が経った今でも根強い人気を誇っている。
3時間を超える本作には、知ると更に深みが増すトリビアや小ネタが多く存在する。本記事では、その中から6つをピックアップして、解説していきたい。
この記事には、『タイタニック』(1997)のネタバレが含まれています。
ジャック・ドーソンと同姓の男性が乗船していた
本作の主人公は、レオナルド・ディカプリオ演じるジャック・ドーソン。絵描きとして自由気ままに生計を立て、タイタニック号での旅も、乗船チケットをかけたポーカーで勝ち取った。そんなジャックは、タイタニック号で乗り合わせた貴族の娘ローズに一目惚れする。
このジャック・ドーソンというキャラクターは架空の人物。しかし公開後、史実との繋がりが奇しくも判明する。沈没した実際のタイタニック号には「J.ドーソン」という名の男性が搭乗していたのだ。タイタニック号沈没事故の死没者が埋葬されているカナダ・ハリファックスのフェアビュー・ローン墓地にて「J.ドーソン(J. Dawson)」と刻まれた墓石を確認することができる。

J.ドーソンの本名は、ジョセフ・ドーソン。1988年、アイルランドの首都ダブリンにて生を受けた。2016年に掲載された米New York Timesの記事によると、ジョセフ・ドーソンはタイタニック号の機関室で働く乗組員として乗船していたという。この事実を知った『タイタニック』ファンの中には、ジョセフの墓を訪れ、花を手向ける人も少なくなかったそうだ。なお、製作にあたっては、ジャックとジョセフの関連性は無く、偶然であったことがキャメロン監督の発言で判明している。
Source: New York Times,CBC
名ゼリフ「世界は俺のものだ」はアドリブ
タイタニック号に搭乗することができたジャックは、友人のファブリッツィオ(ダニー・ヌッチ)と船首に行き、両手を目いっぱいに広げてこう叫ぶ。「世界は俺のものだ!(I’m the king of the world!)」。ディカプリオが放ったこのセリフは『タイタニック』で最も印象的な場面のひとつとなったが、実はこのセリフはアドリブだったという。
これを証言するのは、ジェームズ・キャメロン監督。イギリス人ジャーナリスト、アリ・プラムとのインタビューで、「その場で考えられたものです」と断言している。同シーンを高所から撮影するため、クレーンのバスケットで待機していたというキャメロン監督だが、必要としていた自然光を得られず、その間にあれこれとセリフなどを試行錯誤していたのだそう。「その時、思いついたんです」とキャメロン監督。無線を使って、ディカプリオに「よし、一つ思いついたぞ。“世界は俺のものだ”と言ってくれ」と伝えたという。「手を広げてその場に浸るんだ。その瞬間を祝福してくれ」。
キャメロン監督のとっさの思いつきで名場面が誕生したわけだが、この指示を聞いたディカプリオは、はじめは困惑気味だったのだとか。監督いわく、指示を受けたディカプリオは「えっ?」と何度も聞き返していたという。これを受けて、キャメロン監督は「とにかく“世界は俺のものだ”と言ってくれ。受け入れてくれ」とゴリ押ししたそうだが、それでもディカプリオは「えっ?」と繰り返していたそうだ。
Source: Ali Plumb Instagram
ローズの裸体スケッチ、描いたのはジェームズ・キャメロン監督
物語のきっかけとも言える海底に眠っていたローズの裸体スケッチ。沈没したタイタニック号の宝を掘り出そうとしたトレジャーハンターのブロックによって発見されたこのスケッチは、画家志望の青年ジャックが、一目惚れした貴族の娘ローズを描いたもの。裸でソファに寝そべるローズと、プロの画家らしく真剣な眼差しでデッサンするジャックのひとときは、最も美しいシーンの1つとなった。
実はこのスケッチ、描いたのはメガホンを取ったジェームズ・キャメロン監督だった。幼少期から美術分野に長けていたというキャメロン監督が画を前もって描き、撮影でディカプリオが使用したということだ。
なお、キャメロン監督によるこのスケッチは、公開から14年後の2011年にオークションに出品されている。最終落札額は不明というが、少なくとも16,000ドル、日本円にして170万円相当の入札額が提示されたとのこと。
Source: ABC News
- <
- 1
- 2