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『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』レイアの名シーンはいかに甦ったか?40年越しの「再生」の秘密

映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』には、驚くべきサプライズが随所に仕掛けられている。脚本・監督を務めたライアン・ジョンソンは、『スター・ウォーズ』らしからぬ意表を突いたストーリー展開を用意すると同時に、これまでシリーズを愛してきたファンへの目配せも決して忘れていないのだ。

なかでも観客の感動を誘うのは、物語の中盤、キャリー・フィッシャー扮するレイア・オーガナの名シーンを見事に「甦らせて」みせたことだ。その背景にあった並々ならぬ努力、そして前作『フォースの覚醒』(2015)の時点で用意されていた布石とは……。

注意

この記事には、映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のネタバレが含まれています。

©Walt Disney Studios Motion Pictures ©2017 & TM Lucasfilm Ltd. 写真:ゼータ イメージ

40年越しで再生される、レイアのホログラム

『フォースの覚醒』の結末で、主人公レイはついにルーク・スカイウォーカーの居所を突き止める。ルークの“相棒”だったR2-D2を伴って惑星オクトーへと飛んだレイだったが、そこにいたルークは、彼女のイメージしていた人物ではなかった。「ジェダイはこの宇宙に存在すべきでない」とするルークは、レジスタンスに協力してほしいというレイの望みを突っぱねる。
しかしある時、ルークは昔親しんだミレニアム・ファルコンにこっそりと乗り込むのだった。そこで彼と再会したR2-D2は、あるホログラムを再生してみせる。そこには若きレイア・オーガナが映し出されていた。「助けて、オビ=ワン・ケノービ。あなただけが頼りです」……。

シリーズ第1作『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977)の有名シーンを現在に復刻し、新たな意味を与えてみせたこのシーンはいかにして生まれたのか? ホログラムの「再生」に挑んだVFXスタッフの努力を、ルーカスフィルムのストーリー・グループに所属するパブロ・ヒダルゴ氏が語っている

「(レイアのホログラムは)オリジナルのアーカイブ映像です。スタッフが(『新たなる希望』の)仮編集映像やアーカイブのすべてにあたって、VFXを新たに作り直したんですよ。それを少しだけ歪ませて。今では古いものですから、映像の質が悪いんです。効果的な場面だし、良いサプライズですよね。R2-D2はこういう映像をすべて持ってるんですが、(ルークに)あの映像を見せようなんて思っていなかったわけです。だってR2ですから。」

すなわち『最後のジェダイ』のVFXチームは、ルーカスフィルムに残されていた『新たなる希望』のアーカイブ映像を確認し、本編に使われなかったものも使用して、当時のキャリー・フィッシャー=レイア・オーガナを甦らせたのである。きっと、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)で当時のターキンやレイアを登場させたのを思い出す人も少なくないだろう。

なお『最後のジェダイ』を製作する上で、ライアン監督は『フォースの覚醒』のJ・J・エイブラムス監督に、レイとR2-D2を一緒に行動させてほしいと頼んでいたことを明らかにしている。J・Jの計画では、レイと一緒にオクトーを訪れるのはBB-8で、R2-D2はレジスタンス側に残らせるつもりだったらしいのだ。つまりライアン監督は、かなり初期段階からレイアのホログラムを登場させるつもりだったのである。もしJ・Jが断っていたら実現しなかったということか……。

映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は2017年12月15日より全国の映画館にて公開中

Sources: http://comicbook.com/starwars/2018/01/11/star-wars-the-last-jedi-leia-hologram-footage/
https://www.youtube.com/watch?v=p09c0MXDxto
©THE RIVER

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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