「THE LAST OF US」なぜ映画化ではなくドラマ化されたのか? ─ 製作者「2時間には凝縮できない」

世界的人気を誇るサバイバル・アクションゲームを実写化した、HBOドラマ「THE LAST OF US」。待望の実写版は、なぜ映画ではなくドラマとなったのだろうか?原作ゲームを手がけ、ドラマ版の監督・脚本・製作総指揮を務めるニール・ドラックマンが、その理由を米Varietyに明かしている。
全9話構成となる「THE LAST OF US」シーズン1は、PlayStation3専用タイトルとして発売された同名ゲームの第1作に基づくストーリー。人間を凶暴化させる寄生菌の感染爆発によって荒廃した米国を舞台に、娘を失った主人公ジョエル(ペドロ・パスカル)と、寄生菌の抗体を持つ少女エリー(ベラ・ラムジー)の危険な旅路が描かれる。
実写化にあたって、映画よりドラマ作品が適していると考えたドラックマン。その理由として「ストーリーが長すぎる」ことを挙げている。
「簡単に言えば、ストーリーが長すぎるということです。映画化しようとしましたが、上手くいきませんでした。通常15時間かかる体験を2時間に凝縮しても上手くいきませんし、ストーリー上重要だと思われる要素が常に出てきますから。今回は、テレビ番組にしかできない1年にわたる旅を通して、じっくりとジョエルとエリーの関係を描くことができました。」
連続ドラマという形式であれば、原作の世界観を満足のいく形で落とし込めるというのは納得だ。しかし、映画にしろドラマにしろゲームの実写化は苦戦を強いられることが少なくない。過去の失敗例は、本作の製作チームの頭にもよぎったようだ。ショーランナーのクレイグ・メイジンは、ドラマ版を成功させるための取り組みについてこう語る。
「この作品を成功させるにあたって最も困難な点は、あらゆる些細なことを乗り越えなければならないことです。キャスティング、脚本、プロダクションデザイン、音楽、編集、ビジュアルエフェクト……そのすべてです。だからショーランナーはとてもクレイジーな仕事なんですよ。細かいところまで目を配らなければならない。それが私にとっての喜びです。」
こうして実写化の成功に尽力するドラックマンとメイジンが手がけたドラマ版について、主演のペドロ・パスカルは「脚本が素晴らしいと本当に幸運です。クレイグ・メイジンとビデオゲームのクリエイターであるニール・ドラックマンが、堅実で素晴らしい脚本を書いてくれました」と絶賛。脚本が果たす役割は「作品の98%」であり、「残りの2%は、これほど優れた作品を台無しにしないようにすること」だと語った。
ちなみにドラマ版の出来については、フランク役で出演するマレー・バートレットも「今までに読んだ脚本の中でも最高」と称賛。ゲーム版で主人公ジョエル役の声を務めるトロイ・ベイカーも「期待を裏切るような展開が待っている」と語っていた。こうしたキャスト陣の発言を裏付けるように、初回配信の前に公開された米Rotten Tomatoesの批評家スコアでは、97%もの高評価を獲得している。ドラックマンが述べた通り、ドラマ作品として全9話でじっくりと物語を描き、些細なディテールすべてに配慮したからこそ、素晴らしい実写作品に仕上がったのかもしれない。
HBOオリジナル「THE LAST OF US」は2023年1月16日(月)11:00よりU-NEXTにて独占配信。
Source:Variety