「THE LAST OF US」の「神回」第3話を振り返る ─ 「涙を流さないシーンにしよう、と伝えたが、しかし無理でした」

人気サバイバルゲームの実写版「THE LAST OF US」の第3話『長い間』は、世界中を涙の渦に巻き込んだ感動回だ。しかし同エピソードを手がけたピーター・ホアー監督によると、当初は視聴者を泣かせるつもりはなかったという。米Deadlineのインタビューで語っている。
この記事には、「THE LAST OF US」第3話『長い間』のネタバレが含まれています。

第3話『長い間』は、主人公ジョエル(ペドロ・パスカル)の仲間である、ビル(ニック・オファーマン)&フランク(マレー・バートレット)の特別な関係にフォーカスした物語だ。最初の出会い、ふたりが結ばれる瞬間、関係の浮き沈みなど、ビルとフランクの深いつながりが丁寧に描かれていく。最後は病に侵されたフランクが自殺を手伝ってほしいとビルに頼み、ビルも自ら命を絶つことを決断する。ジョエル&エリーがビルの家に到着すると、ビルとフランクは亡くなっており、ジョエル宛ての手紙が残されていた……。
涙なしには見られないエピソードだが、ホアー監督は「世界中の人々が抑えきれずに泣いてしまうような物語を描こうとしたわけではなかった」とコメント。しかしあるシーンでは、フランク役のバートレットすら涙をこらえることができなかったという。
「僕からマレー(・バートレット)に渡したメッセージがあります。ここは涙を流さないシーンにしよう、と伝えました。しかし、無理でした。なぜならビルはとても情熱的で、そのシーンは、愛するフランクに対して、お前は生きる目的だった、と言う場面だったからです。
マレーは、“僕には無理です。彼を見てください、とても美しくて人間味がある。涙を我慢できません”と言いました。なので、あのメッセージは余計でした。僕は人々に何かを感じてもらうために、存在しているのです。」

ホアーは涙を誘う要素として、劇中の楽曲と、最後に登場するペドロ・パスカル&エリー役のベラ・ラムジーにも言及。終盤のモンタージュで流れるマックス・リヒターの『On the Nature of Daylight』は意図的に選んだといい、「毎回いろいろな感情を抱かせる」「涙腺が緩む」ような曲だと語った。また、パスカル&ラムジーの演技についても、「僕たちは皆、ニック(・オファーマン)とマレーについて語りますが、ペドロとベラの演技、特にエリーがビルの手紙を読むシーンは素晴らしい。彼女が手紙を読む姿は滑稽ですが、胸を打ちます。ペドロのリアクションも非常に美しい」と称えている。
「THE LAST OF US」はすでにシーズン2へ更新済みで、ゲーム版第2作『The Last Of Us Part II』に基づく物語になる予定。第2作の内容は複数シーズンにわたって描かれるとみられ、シリーズ全体では全4シーズンになる可能性が高そうだ。クリエイターのクレイグ・メイジンが、米The Hollywood Reporterにこう語っている。
「3シーズンや5シーズンになる可能性もある。でも、4シーズンはいい数字だと思います。ストーリーの都合上、少ないエピソードで済むシーズンもあれば、より多くのエピソードが必要なシーズンもあるでしょう。(中略)でもとにかく、数は重要じゃない。大事なのは、シーズンを終えたときに“いいシーズンだった”と思ってもらえるかどうかです。」
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Source: Deadline, The Hollywood Reporter