トム・ハンクス、俳優業引退の意思ナシ ─ 「私は仕事のために仕事をしているわけではない」

名優トム・ハンクスは、ハリウッドにおける40年超のキャリアにおいて、実に80本以上の作品に出演してきたレジェンドである。しかし、有名スターや映画監督が引退を宣言することもしばしばある中、まだまだ引退の意志はないらしい。最新作『オットーという男』のプレミア上映にて、米Varietyに対して語った。
『オットーという男』は、大ヒットしたスウェーデン映画『幸せなひとりぼっち』(2015)のリメイク版。ハンクスが演じるオットーは愛する妻ソーニャに先立たれ、孤独に苦しんでいたが、近所に住むマリソルと出会ったことからコミュニティの価値に目覚めていく。ハンクスは、オリジナル版の『幸せなひとりぼっち』で、主人公が定年を迎え、強制退職させられる設定であることに触れた。
「ある一定の年齢になったら、もうあなたは不要です、と言われる。そうやって物事が機能しているんです。彼は身売りさせられてしまい、退職金を受け取った。辞めたくなかったのにね。会社の人たちはもう彼に対して義理がないから、もうこれ以上いる意味はないってことです。」
現在66歳となったハンクスは、もし一般企業で働く身ならば定年退職していてもおかしくはない頃合い。もっとも、当人は「引退しようという気持ちはちっともない」と語っている。
「私は仕事のために仕事をしているわけではないんです。私はとってもラッキーなポジションにいますね。それは素晴らしいことに違いありません。妻のリタといつも話すのですが、私が仕事に行く理由はたった2つしかない。“良さそうか、もしくは面白そうか”。そのどちらでもないとしたら、ずっと家にいるでしょう。何もする必要がありませんから。」
ハンクスは『フィラデルフィア』(1993)『フォレスト・ガンプ』(1994)でアカデミー主演男優賞を2年連続受賞。『プライベート・ライアン』(1998)『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(2001)『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(2017)などで幾度にもわたるスティーヴン・スピルバーグとのタッグを経験するなど、出演作すべてが代表作とも言えるキャリアの持ち主だ。
近作『エルヴィス』(2022)で、ハンクスはプレスリーのマネージャー、トム・パーカー大佐を演じてこれまでにない凄味を見せつけたばかり。まだまだ歩みを止めないハンクスは、「ラッキーなポジションにいる」と謙虚だが、それも彼のたゆまぬ努力に他ならないのだろう。
Source: Variety