『トップガン マーヴェリック』続編やスピンオフの可能性があるかもしれない?世界のファンは実現を望むか

1986年の伝説的名作『トップガン』から、実に36年ぶりに公開された続編『トップガン マーヴェリック』。コロナ禍による約2年の公開延期を経て、2022年5月27日よりついに封切りとなった。
『トップガン マーヴェリック』は、前作のファンが長年実現を求めた待望の続編。主演トム・クルーズは本作の来日記者会見で、これまで「どこに行っても『トップガン』の続編を求められた」と話した。『トップガン』は、まだ若かったトムのキャリアを上昇させた作品であり、トムの思い入れも一際深い。そのため、本当に納得できる内容でない限り、トムは一切の続編を許さなかった。このタイミングで続編が実現したのには、アイデアを形にできるテクノロジーが整ったことや、故トニー・スコット監督の意志を継いだジョセフ・コシンスキー監督の提案にトムが心動かされたからだ。
待ち望まれた『トップガン マーヴェリック』は、アメリカ含む世界各国でトム・クルーズ作品史上1位のオープニング興収とともに発進。1週目の米興収のみで、1億7,000万ドルとされる製作費はほぼ回収する。批評家や観客からの評価も非常に高く、悪い話題は聞こえてこない。
となれば、更なる続編やスピンオフの企画の可能性も浮上しておかしくない。実際に、筆者がプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーに直接質問してみたところ、「本作次第です。そのことは後日話し合います」との答えが得られたのである。まるで、満更でもないといった様子で。
仮に続編が成立するとして、どのような内容になるか想像してみよう。『トップガン』といえばトム・クルーズ演じるマーヴェリックの物語であるので、再びこの主人公の物語になると考えるのが自然だ。しかし、トムには今後、宇宙空間で撮影するアクション映画や、『ミッション:インポッシブル』完結作の撮影が残っている。もしも『トップガン』第3作の製作が決定したとしても、撮影は5年〜数年先になるだろう。いくら永遠の映画スターであるからと言って、2022年で還暦を迎えるトムが、数年後にまた『マーヴェリック』並の高負荷な撮影に耐えられるかはわからない。ただでさえ、本作ではトムが「二度とやりたくない」と苦しんだ箇所※があったり、米海軍から特殊な許可を得たために二度と実現できない撮影もあったりした。
※トムは本作の来日の記者会見で、戦闘機F-18の小さなコックピットにカメラを6機搭載する方法を考案する過程について「二度とやりたくない」と話した。
次に考えられるのが、『マーヴェリック』に登場した若きパイロットたちを描く続編、あるいはスピンオフで、こちらにはまだ現実性がある。実際に、グースの息子ルースターを演じたマイルズ・テラーは自身の役を主人公にした『トップガン:ルースター』の提案を始めているという。
また、ルースターのライバル的存在であったハングマン役を演じたグレン・パウエルは、トムの「前作に勝ることができないなら、やる意味がない」というモットーは理解しているとしながら、「もしも、もっとクレイジーな空撮や、説得力があって感情的で冒険的でロマンチックなストーリーができれば、きっとトムも喜ぶはず」との見解を示している。
『トップガン マーヴェリック』は米国防総省の協力のもと、過酷な訓練を耐え抜いた俳優たちが実際に戦闘機に乗り込んで撮影を行なっており、その戦闘機F-18は1時間あたり100万円超の使用料がかかったとされる。何もかもが規格外である本作が実現できたのは、作品の“守護人”であったトムが納得できたからであり、逆に言えば、トムがふたたび納得しない限り、あらゆる新作は登場し得ないだろう。実写撮影が困難であれば、アニメ作品で新章を語るケースもあるだろうが、果たしてトムがそれを許すかである。
来日取材を終えて、トムが「全てはファンのため」と繰り返し口にしていた姿が印象的だった。つまり、ファンが『トップガン』の更なる新作を強く望むのであれば、パウエルの言う通りトムも検討するであろうということだ。
それでは、ファンは『トップガン』の新作を望むだろうか?作品の提供方法が多様化し、スピンオフやユニバース構想も当たり前になった現代。『トップガン』だけは、比類なきクラフトマンシップと共に、厳重に管理されていて欲しいと願うファンも多いのではないか。遥か上空を飛ぶトップガン・パイロットには、手が届かなくたって良いのだから。
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Source:IndieWire