『トップガン マーヴェリック』アイスマンのタイピングシーン、脚本にはなかった─「ヴァル・キルマーの案から始まった」

2022年最大のヒット作『トップガン マーヴェリック』では、多くの観客がトム・クルーズ扮するマーヴェリックとヴァル・キルマー扮するアイスマンの絆に心を動かされ、涙したことだろう。胸アツエピソードに事欠かない本作における更なる新事実を、ジョセフ・コシンスキー監督が米Varietyの『ナイブズ・アウト: グラスオニオン』(2022)のライアン・ジョンソン監督との対談で明かしている。
第1作『トップガン』(1985)でライバル関係にあったマーヴェリックとアイスマンが36年の時を経て再会を果たす『トップガン マーヴェリック』。闘病中のアイスマンがマーヴェリックを自宅に呼び出すシーンは、2人のこれまでと今を繋ぐ、作品のハイライトの一つだ。ジョンソンも非常にこのシーンに惹かれたようで、「執筆のどの段階であのシーンを考え付いたのですか?撮影当時はどんな感じだったのですか?」と率直にコシンスキーに尋ねている。
「アイスマンが病に侵されているというのは、ヴァル自身が考え付いたアイデアだったんです。ヴァルの役割にとっては非常に勇気あるアイデアだと思いましが、そこからアイスマンとマーヴェリックのためにストーリーラインを自由に話し始め、ともに脚本に取り組みました。
最初のバージョンではアイスマンとマーヴェリックが会話するシーンは全体通して、もっと言葉で喋っていたんですよ。撮影を進めていくにしたがって脚本を変更し、アイスマンがシーンの前半でタイピングすることになったのです。」
アイスマンが闘病中という設定はヴァル本人の事情によるものですよね、とジョンソンに問われたコシンスキー。ヴァルは咽頭がんの手術で声を失ったが、人工知能(AI)技術を用いた声再生プロジェクトに参加し、本作続投に臨んでいた経緯もある。
「喋りづらいということが一つの理由でしたね。だけど、それがアイスマンが本当に喋るエンディングに繋がっていったんです。エンディングでは、ジョーク無しのもの哀しい感じのバージョンも撮っていたのですが、ジョークありバージョンを出しました。」
この展開についてはジョンソンも「観客が望んでいたものだけど、決して感動を損なうものではないですよね」と大絶賛。コシンスキーにとっても、2人のシーンは忘れ難い日々だそう。また『トップガン マーヴェリック』を鑑賞するときは、2人のシーンに注目してみたい。
Source:Variety