【ネタバレ】『トップガン マーヴェリック』ヴァル・キルマー、アイスマン再演の為に声をAI再形成していた

この記事には、『トップガン マーヴェリック』のネタバレが含まれています。

『トップガン』出演後も数々のハリウッド映画で活躍してきたキルマーは2015年、喉頭がんと診断された。キルマーがこれを公に明かしたのは診断から2年後の2017年。手術により声を失うも、電気式人工喉頭を活用したり、自身の演技にアテレコを加えたりしながら、俳優活動を継続していた。
2021年、英スタートアップ企業Sonantic社と共に、最先端のAI技術を駆使した音声クローニング開発に取り組んだキルマーは、声をデジタル再生。キルマーは「また自分を表現することができるようになった」と再生された声で喜びを語っていた。
トム・クルーズは『トップガン マーヴェリック』を製作するにあたり、アイスマン役のキルマーの復帰を必要条件として主張したそうだが、熱烈なオファーを受けたキルマーも再演に向けて動き出していた。Sonantic社と再び協力したというキルマーは、すでに開発済みのデジタル音声技術を活かし、『トップガン マーヴェリック』の為に必要な音声を再形成したというのだ。
Sonantic社共同創設者にして最高技術責任者(CTO)を務めるジョン・フリン氏は、開発当時をこう振り返っている。「最終的に、我々は40以上の声のモデルを収集し、高音質で最も表現が豊かだと思うベストな1つを選択しました」。また、先駆者となったキルマーの功績は同社にとっても大きいようで、フリン氏はキルマーとのプロジェクトで得た技術について、「こうした新しいアルゴリズムは、弊社のボイスエンジンに組み込まれ、将来的な顧客が自動的に利用できるようになります」と話す。
『トップガン マーヴェリック』では、歳を重ねながらも海軍に身を置くマーヴェリックとアイスマンが再会を果たす。テキストを通して会話をしていた2人だが、マーヴェリックの去り際、アイスマンは「最後に一つ」と立ち上がり、「どちらが最高のパイロットだ?」と声を絞り出す。その後、2人は抱擁を交わし別れたが、この再会シーンは、新世代の活躍を描く本作において『トップガン』のレガシーを色濃く映し出した名場面となった。まさにトムの言う通り、キルマーの復帰無くして『トップガン マーヴェリック』の感動は生み出されなかっただろう。
ちなみに、本作の米公開日にあわせてキルマーはInstagramを投稿し、「皆さんの感想を聞かせてくださいね」と綴っていた。名作を生み出した立役者の1人であるキルマーに、胸熱コメントを送ってみてはいかが。
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