【ネタバレ】『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』終盤シーン、中東でカットされる ─ 中国ではそのまま上映

この記事には、映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』のネタバレが含まれています。
『スター・ウォーズ』初の同性キスシーン
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』には、ひとまずのシリーズ完結編にして、過去42年間で初めての描写が用意されている。すべての戦いが終わり、基地に帰還したレジスタンスたちが喜びを分かち合うシーンで、女性兵士ふたりがキスする様子が映し出されるのだ。『スター・ウォーズ』シリーズにおいて、同性愛が直接的に描かれるのは今回が初めて。脚本・監督のJ・J・エイブラムスは、本作の公開に先がけ、米Varietyにて「LGBTQについて言えば、映画を観てくださるみなさんが、作品の中に自分たちが登場しているように感じてもらえることが大切だと考えています」と述べていた。セクシャルマイノリティに関する何らかの描写が含まれることを、前もって示唆していたのである。
ただし報道によると、2019年12月19日(現地時間)に劇場公開を迎えたアラブ首長国連邦の都市ドバイでは、この場面をカットする形で上映が行われているという。アラブ首長国連邦は近隣諸国よりも規制の基準が緩く、またドバイは中東におけるエンターテイメント業界の中心地となっているため、本方針は中東全体に広がるとみられている。
2019年12月現在、アラブ首長国連邦で同性愛は違法とされており、判明すれば死刑となる可能性もある。同じく、「中東」と称される西アジアとアフリカ北東部においては、多くの国々で同性愛が認められていないのが実情だ。映画で描写されることもほとんどなく、『キャロル』(2015)や『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』(2015)、『ブロークバック・マウンテン』(2005)などは上映されていない。
なお中東では、暴力描写は審査を通過しやすいものの、宗教・性・ドラッグに関する描写は大部分がカットされる傾向にあるという。サウジアラビアにおいて35年ぶりの映画公開となった『ブラックパンサー』(2018)はキスシーンを含む約40秒間が削除され、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013)は179分中およそ45分がカットされたと伝えられている。
その一方、同性愛の描写を厳しく審査する中国(同性愛そのものは合法と認められている)では、『スカイウォーカーの夜明け』の女性同士のキスシーンはそのまま上映されているとのこと。中国では『ブロークバック・マウンテン』や『君の名前で僕を呼んで』(2017)が劇場公開されず、『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)は10分以上削除されていた。今回の判断に至った理由は不明だが、違いを見出すとすれば、『スカイウォーカーの夜明け』の場合、これらの作品ほど同性愛の要素を大きく取り上げてはいないことが挙げられるだろうか。しかしながらVarietyは、これは中国における「LGBTQ表現の勝利」であるとして、現地SNSにてさまざまな声が上がっていることも含めて伝えている。
映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は2019年12月20日(金)より公開中。
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Sources: The Hollywood Reporter(1, 2), Variety(1, 2)