【ネタバレ】『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』はハン・ソロにいかにして敬意を払ったか ─ J・J・エイブラムスと脚本家が解説

この記事には、映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』のネタバレが含まれています。すでに作品を鑑賞された方向けの内容となりますのでご注意下さい。なお、このページをSNSにてシェア頂く際は、記事内容に触れないようお願い致します。

ハン・ソロの帰還
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』で、ハリソン・フォード演じるハン・ソロは再びの帰還を見せる。“帰還”とはいえ、本当にハン・ソロが甦るわけではない。海に墜落した第2デス・スターの残骸上にて、レイとカイロ・レンは激しい戦いを繰り広げ、ついにカイロはレイを追い込む。しかしその時、遠く離れたレジスタンスの基地では、母親であるレイア・オーガナが祈るような姿を見せた。残されたフォースの力をふるって、レイアは自分の声を息子であるベン・ソロ=カイロ・レンの元に届けたのだ。
一瞬の隙をついて、レイはカイロの胴をライトセーバーで貫く。これが決定的な一撃となって、カイロはとうとう敗れたのだった。しかしレイは、カイロを見捨てることはしなかった。フォースの力でカイロの傷を癒すと、レイはひとりで去っていく。立ち上がり、海を見つめるカイロの耳に、「息子よ」という声が聞こえる。振り返ると、そこにはハン・ソロの姿。しかし、その姿はフォース・ゴーストではない。あくまでカイロの記憶が生み出したハン・ソロなのだ。彼が語る言葉は、『フォースの覚醒』や、あるいはそれ以前に口にした言葉によく似ている。
「カイロ・レンは死んだ。息子は生きている」「母は逝った。けれども、彼女が支えてきたもの、守ってきたものは失われていない」。記憶の中から語りかけるハンに、息子であるベンは「父さん」と声をかけるも、次の言葉が出てこない。穏やかな表情で、ハンは「知ってるさ(I know.)」と答えた。『エピソード5/帝国の逆襲』(1980)での光景が、ここでは息子と再現されるのである。ついに、ベンは赤いライトセーバーを海へと投げ捨てた。
ハリソン・フォードの再出演、いかに実現したか
ハン・ソロ役のハリソン・フォードは、もともと『エピソード6/ジェダイの帰還』(1983)の時点で「ハンを殺してほしい」とジョージ・ルーカスに頼んでいたというエピソードで知られている。『フォースの覚醒』に出演したのも、創造主ジョージ・ルーカスからの電話を受けて、「今度こそ生き延びない」と説明されたからだったというのだ。そんなハリソンを再び呼び戻すのは、さぞかし骨が折れたのではないか……。ところがJ・Jによれば、今回のハリソンは再出演を快諾したという。
「電話をかけて、“カイロ・レンと父親のシーンを撮りたいんですが、いかがでしょうか?”と言ったら、“オーケー”と。ミーティングして、どんな出番になるのかをお話ししました。ハリソンは本当に素晴らしい人で、やることすべてに聡明な方。“僕の役割は何?”と、役柄の効果だけを知りたがっていましたね。そこで僕たちの意図をご説明しました。きちんと時間をかけてお話しして、脚本をお送りして、引き受けていただいたんです。ご覧いただいたように、もちろん彼は見事でしたよ。」
J・Jは「あのシーンに(ハリソンを)登場させることは、カイロの内面で起きてきたことを劇的に表現するために欠かせなかった」と強調。共同脚本のクリスは「母親が死んだあと、ようやくカイロは許しを乞うことができ、ある意味で父親と和解できるのだと思いました。彼が父親にしてしまったことは元には戻らないけれど、未来に向けて罪を償うことはできます」と説明した。

『フォースの覚醒』以来となるハリソンとカイロ・レン役アダム・ドライバーの共演を、J・Jは「実に鮮やかでした」と振り返る。「2人はいつでも最高の火花を散らしてくれる。シーンの撮影前だけでなく、2人とも本質的にお互いを許し合っている感じで、互いにオープンで、弱さをさらけ出しているんですよ」。
ちなみにJ・Jとアダムは、カイロ・レンの振る舞いに父親の面影が見られるよう、綿密に演技を構築していたとのこと。ハックス将軍を指さす動き、ブラスターの使い方、レン騎士団を前に肩をすくめるしぐさ……。クリスはその演技に、「カイロの身体性にベン・ソロとしての痕跡が見えますよね。アダムは、父親から受け継いだものを見せることで、かつてのベン・ソロはこんなふうだったのだろうなと思わせてくれるんです」と称賛を送った。
ところで『フォースの覚醒』の公開後である2017年当時、ハリソンは「ハンは死にました」「『スター・ウォーズ』が僕の出番を終わりにしたなら、僕の『スター・ウォーズ』も終わりだと思います」と話していた。『スカイウォーカーの夜明け』での再演は、きっと意外な展開だったことだろう。一方、もともと本作を手がける予定ではなかったJ・Jにとっても、その気持ちは同じだったという。
「『スター・ウォーズ』のセットに来て、“またやるとは思ってなかった”という気持ちをハリソンと共有するのは変な感じでしたね。もちろん、彼の経験のほうが、あらゆる意味で僕よりもずっと素晴らしいものですけど。」
映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は2019年12月20日(金)より公開中。
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