ウクライナの映画団体、ロシア映画のボイコットを世界に呼びかけ ─ 署名活動スタート、ハリウッド俳優たちもウクライナ支持を表明

東欧ウクライナの映画団体「Ukrainian Film Academy」が、現在も続くロシア・ウラディーミル・プーチン政権によるウクライナ侵攻を受けて、ロシア映画をボイコットする署名活動を開始したことがわかった。米Change.orgでは、世界中の映画関係者に対する同団体の訴えが具体的に記されている。
ロシアによるウクライナ侵攻は、2022年2月21日、プーチン大統領がウクライナ東部に位置する親露派の実効支配地域、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の独立を承認する大統領令に署名したことがきっかけとなった。本記事掲載時点でもロシア軍による攻撃は続いており、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領率いるウクライナとロシアの交渉団による停戦協議がベラルーシ国境付近で予定されている。
アメリカ、イギリス、EU諸国、日本などからの経済制裁を含め、ロシアによる侵攻には世界各国から非難の声が上がっているが、このたびウクライナの映画業界も行動を起こした。同国の映画業界をサポートする団体「Ukrainian Film Academy」が署名活動をスタートさせ、世界各国に対して、ロシア関連の映画作品に利益を与えることを止める旨を訴えている。
同団体は具体的な行動指針を対象者ごとに区分け。欧州評議会をはじめ、映画祭関係者、国際映画製作者連盟(FIAPF)、配給会社など計6方向に対して呼びかけている。より一般客にも馴染みのあるものとして映画祭関係者へのメッセージを確認すると、「ロシア連邦が製作、または共同製作する映画のコンペティション部門、非コンペティション部門入りを許可しないで下さい」と記されている。
また、世界中の映画プロデューサーに対しては、ロシアに関連したビジネスとの取引を停止すること、映画の知的財産権をロシア領域内の取引先に移譲することを禁止するように要求。「あなた方の映画を用いたビジネスに関連する税金は、国境を侵害するロシアの軍隊や、ヨーロッパ市民を爆撃するために買われたミサイルの費用を援助してしまうということを忘れないで下さい」と強く訴えている。
現状、「Ukrainian Film Academy」側によるボイコット活動を受けて、各国の映画関係者もしくは団体によって、何らかの行動・決定がなされたという報告は無いが、Change.orgでは2,500人近く(本記事掲載時点)の署名が集まっている。また、ウクライナ出身のミラ・ジョヴォヴィッチをはじめ、アンジェリーナ・ジョリー、ライアン・レイノルズ、マーク・ラファロなど、ハリウッド俳優たちもSNS上でウクライナを支持。『アイ・アム・サム』(2001)『ミスティック・リバー』(2003)などで知られる俳優・映画監督のショーン・ペンは被害が甚大なウクライナの首都キエフに滞在し、侵攻の実態を伝えるドキュメンタリー作品を製作するなど、各所でこのたびのウクライナ侵攻に対する行動が見られている。
Source:Change.org,THR(1,2)