劇場閉鎖、米ユニバーサルは『透明人間』など公開中作品を異例のデジタル配信へ

新型コロナウイルスの影響により劇場興行が低迷する中、米ユニバーサルは現地時間2020年3月16日、劇場公開中の配給作品一部をビデオ・オン・デマンド配信すると発表した。米Deadlineが報じた。
対象となるのは、2020年2月21日公開の『Emma.(原題)』、28日公開の『透明人間』、3月13日公開の『The Hunt(原題)』、および4月10日公開予定の『トロールズ ミュージック★パワー』(いずれも米公開日)。配信は48時間有効のレンタル形式で、19.99ドルの価格。
新型コロナウイルスを警戒して観客の客足は遠のいている。3月13日〜15日の週末興収額は、9.11アメリカ同時多発テロ発生時よりも下回る、20年来最低記録となっていた。3月13日には、米ニューヨークとロサンゼルスの2大都市で全劇場が閉鎖されるとの発表があり、16日には米劇場チェーン大手のRegal Cinemasが全米におよぶ542館の全てを閉鎖すると決定。映画業界では事実上、興行不可の状況に追いやられつつあるのだから、米ユニバーサルも背に腹は代えられない。
「(劇場公開を)遅延させる、あるいは、困難ある状況で劇場公開するのではなく、皆さまにとって鑑賞可能であるご自宅でご覧頂くという選択肢をご提供致します」と表明する米ユニバーサルは切実だ。「私共は、可能な地域においては、皆さまが引き続き劇場で映画鑑賞をされると望んでおり、また信じております。しかしながら、世界のある地域においてはそれが難しく、そうした地域が広がっているという点も理解しております。」
この度、米ユニバーサルが異例のデジタルレンタルリリースに踏み切った作品のうち、『透明人間』は5月1日の日本公開が予定されている。国内配給は東宝東和で、現時点で公開延期に対する発表はない。また『トロールズ ミュージック★パワー』は10月公開予定で、こちらも同様である。
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