米国の週末映画興行収入、史上初の「報告なし」 ─ 映画館の大規模休業、スタジオ各社のデータ発表見合わせで

アメリカにおける新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受けて、週末の映画興行収入が、史上初めて「報告なし」となったことがわかった。
現在、ハリウッドの映画業界は、新型ウイルスの影響をもろに受けている。映画スタジオが作品の公開延期、ほぼ全企画の一時中断に踏み切ったほか、映画館は続々と休業に入ったのだ。米Deadlineによれば、2020年3月20日(米国時間)時点で営業していた映画館は、アメリカ・カナダを合わせて233館のみ。米国のみならず世界各国の映画館が休業に入った現在、ウォルト・ディズニー・カンパニーやユニバーサル・ピクチャーズなど、スタジオ各社は興行収入データの発表を一時的に見合わせる方針を決定していた。
1980年代から興行収入データの計測・発表を実施してきた米Comscoreは、このたび「未曾有の状況を受け、日曜日の北米トップ10速報、グローバルチャート、論評の発表を一時的に見合わせます」との声明を発表。また米Box Office Mojoは、各社がデータの発表を見合わせていることを受けつつ「受け取ったデータの発表は継続する」との方針を示したが、日々の興収情報は3月19日をもって更新停止状態にあり(3月25日現在)、3月20~22日の週末データも再上映作品の2本のみで、通常の報告とはならなかった。
週末の映画興収情報が即時発表されなかった前例には、1994年1月のノースリッジ地震(ロサンゼルス地震)がある。しかしながら、当時はデータが遅れて発表されており、今回のように「報告なし」との結果とはならなかった。また、当時は1度かぎりだったが、現在の状況には収束の目処が立っていないという違いも大きい。ワーナー・ブラザースは、6月に米国公開予定だった『ワンダーウーマン 1984』も2ヶ月の公開延期を決定したが、これは約2ヶ月後の状況さえ決して楽観視できないという判断といえるだろう。
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Sources: Los Angeles Times, Deadline, Box Office Mojo