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【ネタバレ】『ヴェノム』冒頭シーン、まったく異なるアイデアが検討されていた

ヴェノム
©&TM 2018 MARVEL

マーベル屈指のダークヒーローを描く映画『ヴェノム』は、主人公エディ・ブロックに寄生する地球外生命体、シンビオートの恐ろしさを冒頭から観客に知らしめる。

ところが映画の構想段階において、その冒頭シーンではまったく異なるアイデアが検討されていたようだ。ルーベン・フライシャー監督が、オープニングの別案を明かしている。

この記事には、映画『ヴェノム』のネタバレが含まれています。

ヴェノム
©&TM 2018 MARVEL

『ヴェノム』冒頭、シンビオートの惑星とは

『ヴェノム』のオープニング・シーンは、ライフ財団の宇宙船が地球へと帰還してくる場面から始まる。シンビオートを宇宙から持ち帰ってきた宇宙船は、しかし謎の異常によってコントロールを失い、地球へと墜落する形で戻ってくるのだ。財団の創設者であるカールトン・ドレイクは、乗組員の生命よりも、彼らが宇宙で採取したシンビオートの状態ばかりに関心を抱く。

映画の冒頭において、シンビオートという存在については事細かには語られない。ライフ財団によって採取された異星人のサンプルが、人類にとってなんらかの脅威となることだけが示されるのだ。米Cinema Blendのインタビューにて、ルーベン監督は冒頭シーンの別案についてこう述べている。

「映画の冒頭は難しかったですね。たとえば、どれくらい映画の背景を描きたいのか。(オープニングには)大量のシンビオートが惑星を這っていて、それらがライフ財団に採集されて地球へ持ち帰られるというバージョンもありました。彼らはシンビオートに接触したわけですね。でも、僕はそこを謎めいたままにしておきたかったし、宇宙から何かを回収したことだけを知らせるのがいいと思っていたんです。」

この冒頭シーンの違いは、ストーリーテリングのアプローチの違いをそのまま表しているだろう。『ヴェノム』は徹底して人類の視点からヴェノムやシンビオートの脅威に対面する物語だが、シンビオートの生息する惑星が登場する場合、人類がまだ知りえない情報が映画の最初に示されることになる。
ルーベン監督は、「ドーラ・スカースが、彼ら(財団)が彗星と遭遇して、シンビオートのサンプルを採取して地球に持ち帰ったことをあとから話します。でも異星人の背景については、謎を少し残しておくのが良いと思ったんですよ」と述べている。

プロデューサーのマット・トルマック氏は、こうした別案について、製作陣が気に入ったアートワークがあったことを明かしている。しかしマット氏は「映画を独特なものにしたかった」と述べており、「(シンビオートの)オリジンをストーリーの中で明かすことは、シンビオートの惑星に向かうこととは違う」とも話した。エディ・ブロックとヴェノムの描き方をはじめ、いかに本作が独自の視点でストーリーを構築していったかがうかがえるエピソードだろう。

『ヴェノム』公式サイト:http://www.venom-movie.jp/

Source: CB

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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