映画版『ヴェノム』の胸に原作コミックの白いクモのシンボル・マークが無い理由

時に液状にも見える黒い身体に、白い大きな目、不気味に生え並んだ牙の上から、大きな舌がダラリと伸び、ヨダレを垂らしている。映画『ヴェノム』では、スパイダーマン最大の宿敵として知られるマーベル・コミック屈指のダーク・ヒーローを見事に実写化した。
しかし、原作コミックからわずかにひとつだけ継承できなかったものがある。胸の白いクモのシンボル・マークだ。実写映画版ではクモのマークに代わって白い筋が脈のように這っているが、このデザイン変更にあった理由とは。『ヴェノム』ルーベン・フライシャー監督が米IGNのインタビューに答えている。
「コミックでは、ヴェノムのスーツに白い要素(=クモのシンボル)がありますね。今回のキャラクターはスパイダーマンから派生したわけではないので、クモのマークが胸にあると理屈が通らなくなるからです。」

原作コミックにおけるヴェノムは、一度はスパイダーマンに寄生したシンビオートがエディ・ブロックに宿主を変えたことで誕生する。ヴェノムがスパイダーマンに似た見た目と能力を持っているのはそのためだ。サム・ライミ版『スパイダーマン3』(2007)に登場していたヴェノムは、ブラック・スパイダーマンのデザインをそのまま引き継いだテクスチャで、胸には原作コミックのような白いクモのシンボル・マークも見られていた。
ところが本作『ヴェノム』ではスパイダーマンを能力の由来としないため、クモのシンボルを取り入れる理由がなかったというわけである。フライシャー監督は続ける。
「僕たちは、(原作に)できるだけ忠実にしようと心がけました。忠実じゃないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、白い部分はたくさんありますし、独特のパターンを入れたかったんです。真っ黒にしてしまったら、特に夜のシーンなんかでは姿が見えなくなってしまいますから。」
もっとも制作陣は、原作ファンがヴェノムの見た目を長年愛していることも分かっている。「ヴェノムが特徴的な理由は、その見た目でもある。大きくて白い目や歯、長くて赤い舌、それにクモのシンボルですね」と認める監督は、「でも今回はスパイダーマンのシンボルは使えないから、違う形で見た目の特徴を与えたかった」との事情を説明している。「そこで、胸に脈が這うようなデザインにしたらカッコよく見えるんじゃないかという考えになったんです。」
『ヴェノム』公式サイト:http://www.venom-movie.jp/
Source:IGN