タイカ・ワイティティ、マーベルの映画製作は「容赦ない」 ─ 『マイティ・ソー バトルロイヤル』再撮影で大幅変更していた

2021年公開、『マイティ・ソー』シリーズの第4作『マイティ・ソー/ラブ&サンダー(原題:Thor: Love and Thunder)』の準備にあたっているタイカ・ワイティティ監督が、マーベル・スタジオの映画づくりについて語った。前作『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)は、もともとワイティティが構想した内容とは大きく異なる仕上がりになったらしい。米Varietyのインタビューにて、ワイティティが明かしている。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)を経て、雷神ソーの新たな冒険を描く次回作『ラブ&サンダー』には、シリーズのヒロインであるジェーン・フォスター(ナタリー・ポートマン)が久々の本格登場を果たす。今度はムジョルニアを手にして、ソーとして活躍することになるのだ。いわば初めての“ソー2人体制”だが、コミックには、ソーとなったジェーンが乳がんを宣告されるというストーリーもある。ソーとしての能力が、ジェーンを病の苦しみから一時的に救済するのだ。もしや、このエピソードが映画化されるということか……。
以前、ワイティティはジェーンが乳がんになるエピソードについて「ジェーンの中で2つの戦いが同時に起こっていて、すごく良いと思います。個人的には大好きなストーリーです」と語っていた。しかし当時から一貫して強調しているのは、これを映画化するかどうかは「わからない」ということだ。監督であるワイティティでさえ「わからない」とは、いったいどういうことだろう。
「(ジェーンの闘病が描かれた)コミックには大きな刺激を受けましたし、最初の草稿いくつかは影響を受けていました。けれどもマーベルでは、常にすべてが変わっていくんです。今、何かを言うことはできるでしょうが、2年経てば、それがまったく逆になっていたり、そもそも存在していなかったりする。我々はポストプロダクションであっても執筆を続けますからね。」
すなわちマーベル・スタジオとの映画づくりにおいては、今の段階で確たることは何もないということだ。実際のところ、『マイティ・ソー バトルロイヤル』の製作時には、約2週間の再撮影によって「キャラクターが大幅に変わりましたし、ストーリーも大きく変わった」という。まるごと撮り直すことになったシーンもひとつではなかったようだ。
インタビュアーが「マーベルの要求に基づいて変更するのですか?」と聞けば、ワイティティは「観客の求めるものに基づいています」と答えている。「彼らの良い仕事はそこに理由があるのだと思います。とにかく良い映画を追求するためなら容赦ないんです」。しかし幸いにも、ワイティティはマーベル流の映画づくりに抵抗感をおぼえてはいないようだ。「僕は今までの映画すべてで再撮影をしてきましたから。撮り直しは好きですよ、修正することに恥ずかしさはありません」と語っているあたり、スタジオとの相性の良さがうかがえるというものである。
『マイティ・ソー/ラブ&サンダー』は2020年半ばの撮影開始を目指して、ただいま脚本作業のまっただなか。ソー役のクリス・ヘムズワースいわく、「ラブいっぱい、サンダーいっぱい」な作品になるというが、果たして…?
Source: Variety