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ワーナー、MGM作品の海外配給を担当へ ─ ティモシー・シャラメ主演のカニバリズム映画から、『007』次回作は契約外

MGM

米ワーナー・ブラザースが、『007』シリーズで知られるMGMの映画作品の海外配給を担当することが決定した。米DeadlineThe Hollywood Reporterなどが報じている。

現在、MGM作品はユニバーサル・ピクチャーズが海外配給を担当しており、近作の『リコリス・ピザ』や『ハウス・オブ・グッチ』『キャンディマン』などは同社の指揮のもと日本でも劇場公開されてきた。しかし今回、ワーナー・ブラザースとMGMが複数年の契約を結んだことで、今後のMGM作品はワーナーが海外配給を手がけることになる。

ワーナーが配給を担当するMGM作品の第1弾は、『君の名前で僕を呼んで』(2017)のティモシー・シャラメとルカ・グァダニーノ監督が再タッグを組んだ“カニバリズム恋愛映画”『Bones And All(原題)』(米国公開:2022年11月23日)。先日公開されたティザー映像や、ヴェネツィア国際映画祭でのワールドプレミア決定には大きな話題が集まっていた。MGM作品とあって日本公開の時期や規模も注目されていたが、ワーナーの配給ならば大規模な劇場公開が期待できるかもしれない。

同作に続く第2弾は、シルベスター・スタローン主演『ロッキー』シリーズを継承する『クリード』の第3作『クリード3(原題)』(米国公開:2023年3月3日)。本作ではマイケル・B・ジョーダンが主演・監督を務め、テッサ・トンプソンやフロリアン・ムンテアヌが続投するほか、新たにジョナサン・メジャースが出演する。

このたび締結された契約に基づき、ワーナーとMGMは宣伝・広報や映画配給、劇場との関係性において協力関係を結ぶ(ただし実際の業務はワーナーの責任のもと執行される)。なお、今後リリースされるMGM作品のブルーレイやDVDの海外展開もワーナーが担当する契約だという。

しかしながら留意すべきは、MGMとユニバーサルの契約が残っているため、『007』シリーズの次回作『Bond 26(仮題)』はユニバーサルが海外配給を担当するということ。そのほか、黒人少年エメット・ティルが白人の集団に暴行死させられた実在の事件を描く『Till(原題)』(米国公開:2022年10月14日)や、フランシス・マクドーマンド&ルーニー・マーラ&クレア・フォイら出演『Woman Talking(原題)』(米国公開:2022年12月2日)もユニバーサルが配給する。

ワーナーとMGMの契約は3年間にわたるもので、その後も更新の可能性はあるとみられる。『007』シリーズの次回作は主演俳優も決まっておらず、公開時期も不明だが、さらにその後に控える第27作からはワーナーが海外配給を担当することになるかもしれない。

ちなみに新契約の仕掛け人となったのは、ワーナー・ブラザース映画部門の会長兼CEOであるマイケル・デ・ルカ&パメラ・アブディ。二人はMGMがAmazonに買収されたのち、2022年4月に同社を離れ、6月にワーナーへ移籍したばかりだった。MGMのクリストファー・ブレアトンCOOとの深い関係性が活き、このたびの契約締結が叶ったものとみられる。

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Source: The Hollywood Reporter, Deadline, Variety

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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