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脚本家ストライキが正式に終結 ─ 新契約の概要も明らかに

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148日間にわたる全米脚本家組合(WGA)のストライキが、正式に終結する。西部および東部のWGAの理事会は、映画製作者協会(AMPTP)との新契約に関する暫定合意を受け、現地時間2023年9月27日(水)午前0時1分付けでストライキ予告を解除することを全会一致で決定した。WGAが発表した。

これによって新契約が批准される前に、脚本家たちは仕事へ復帰することが許可される。つまり、ストライキ中に禁止されていた企画のピッチ、脚本の売り込み、ストーリー開発の場であるライターズルームなどが、9月27日より再開可能となる。

批准投票は、10月2日から10月9日にかけて行われる。これに先立ち、WGAの組合員は契約の詳細について話し合うため、オフラインおよびオンラインでミーティングを開催する予定とのこと。WGAの交渉委員会は声明の中で、「これによって批准プロセスの間、脚本家は仕事に戻ることができるが、契約承認の最終決定を下す組合員の権利には影響しない」と述べている。

またWGAは、契約書全文と新条件の概要を発表。新契約には、報酬の向上、ライターズルームの新たな要件、AI(人工知能)の使用をめぐる対策などが含まれている。

AIに関しては、「AIが生成した資料は、脚本家のクレジットや分離権を損なうために使用することはできない」とした上で、脚本家は執筆の際に「AIの使用を選択することができる」が「企業は脚本家にAIソフトウェアの使用を要求することはできない」などと定めらている。

また大きな焦点のひとつだったのが、ストリーミング作品の脚本に対する二次使用料(residual)だ。新契約では、HBSVOD(高予算のサブスクリプション・ビデオ・オン・デマンド)のシリーズや映画について、リリースから90日間に「そのサービスの国内加入者の20%以上が視聴した作品」の場合、視聴率に基づいたボーナスが支払われることになる。また、これまで不透明だったストリーミングのデータについては、「秘密保持契約に従い、自主制作の高予算ストリーミング番組(Netflixオリジナルシリーズなど)の国内外における総ストリーミング時間数を組合に提供する」と記されている。

本ストライキは5月2日から行われ、多数の映画・ドラマ作品が撮影延期や中止の影響を受けた。7月13日には全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)もストライキに突入し、1960年以来となるダブル・ストライキとなっていた。SAG-AFTRAのストライキは現在も続いており、AMPTPとの新たな交渉日程はまだ発表されていない。

Source:WGA,Summary of the 2023 WGA MBA,Variety

Writer

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KyokoKyoko Okajima

アメリカ留学、大手動画配信サービスの社員を経て、ライターに転身。海外ドラマが大好きで、永遠のNo.1は『ブレイキング・バッド』と『ベター・コール・ソウル』。

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