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「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」バッキー・バーンズは英雄か、それとも怪物か ─ 「最大の重荷を背負った男」の危うさ、脚本家が示唆

ファルコン&ウィンター・ソルジャー
© 2021 Marvel

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のドラマシリーズ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」は、キャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャースの親友であるバッキー・バーンズ(セバスチャン・スタン)の“その後”が描かれる。かつてない形で、バッキーの過去と内面が掘り下げられているのだ。このたび製作陣は、バッキーというキャラクターが抱える「不穏さ」を明かしている。

この記事には、ドラマ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」第2話『星条旗を背負う者』までのネタバレが含まれています。

ファルコン&ウィンター・ソルジャー
© 2021 Marvel

「マーベルの歴史において、バッキーはどのヒーローよりも重い荷を背負ってきた」。脚本・製作総指揮のマルコム・スペルマンは、米TV Lineにてこう語った。それもそのはず、劇中でも語られるように現在のバッキーは106歳。第二次世界大戦でスティーブを支えたバッキーは、ヒドラの洗脳によって暗殺者ウィンター・ソルジャーとなり、現在まで生き延びてしまったのだ。スティーブの努力によってバッキーは元の自分を取り戻したが、そのスティーブはサノスとの戦いを経てキャプテン・アメリカとしての役目を終えている。

『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)の回想シーンで、バッキーはスティーブに「最後までとことん付き合うよ」と告げていた。バッキーはスティーブの引退を見届けて約束を果たしたが、彼にはその後の人生がある。それは自分自身の過去という“重荷”と向き合うことだ。

(本作では)バッキーの背負ってきたものを、ひとつのストーリー、そして彼が対峙する一人のキャラクターにすべて落とし込みました。もし道を踏み外せば、彼は自分自身も恐れているようなモンスターになってしまうかもしれない。けれども成功すれば、彼は(キャプテン・アメリカの)盾にふさわしい男になれるかもしれない。スティーブと同じ賞賛に値する人間に生まれ変われるかもしれないんです。」

一方で大きな問題となるのは、バッキーの精神状態そのものである。第1話「新たなる世界秩序」で、彼は過去の殺人の記憶に苦しんでいた。さらに第2話「星条旗を背負う者」では、定期セラピーが治療の半ばで終了しているのだ。ヒドラによる洗脳は本当に解除されたのか。本作に再登場するジモ(ダニエル・ブリュール)は、かつてバッキーの洗脳を利用してアベンジャーズを攻撃した男だ。ジモの存在も、バッキーの今後になんらかの影響を与えることになるかもしれない。

演じるセバスチャン・スタンは、現在のバッキーについて「自分の殻を破り、過去を受け入れ、前進し、今の世界を知らなければならない」と言っている。「サム・ウィルソンのほかに、そのことを教えるにふさわしい人はいない」のだと。しかしながらサム自身も、スティーブの盾を素直に引き受けることはできなかった。そんな二人の対照こそ、“バディもの”としての「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」の見どころにちがいない。

もっとも、そんな特殊な状況に置かれているからだろう、セバスチャンは「今までの映画で派手な登場をしてきた以上に、(二人が)より親しみやすい存在になると思う」と期待を寄せている。シリーズはまだまだ始まったばかり、ここから物語はどう転がっていくのか。

ディズニープラス オリジナルドラマシリーズ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」は配信中。

Source: TV Line

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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