2019年公開『アベンジャーズ4』、なぜ『インフィニティ・ウォー パート2』でないのか? ― 監督「純粋な前後編ではない」

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、そして『アベンジャーズ』第4作(正式タイトル不明)は、2008年『アイアンマン』に始まったマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の集大成として構想された作品だ。
製作が発表された当初、この2本の映画は『インフィニティ・ウォー』パート1、パート2というタイトルで告知されたものの、のちにタイトルが変更されている。2部作ではなくそれぞれ単独作品として告知され、前者のタイトルからは「パート1」という表記が外れ、後者はいったん「無題」とされたのだ。
けれども実際のところ、この2作品は2017~2018年1月にかけて連続して撮影された。そればかりか、闇の帝王サノスとヒーローたちが激突するこの2作品を、出演者やスタッフなど関係者たちは『インフィニティ・ウォー』とまとめて呼ぶことすらある。
では、なぜマーベル・スタジオはタイトルを分けねばならなかったのか? 「パート2」表記によって続編であることを意識させない、あくまで興行収入を想定した策に違いないと指摘する声もある中、作り手たちはどんな思いで製作に取り組んでいるのだろう。2017年夏、監督がその心中を語っていた。
『アベンジャーズ4』が『インフィニティ・ウォー2』でない理由
『アベンジャーズ』第4作はMCUの第22作目にあたる。60名以上のキャラクターを登場させ、これまで21本の映画で展開してきたストーリーに決着をつける作品になるわけだ。
豪華スターの共演、破格のスケールで映画史に名を残すほどの巨大プロジェクトを牽引するのは、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)と『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)で抜群の才能を見せたアンソニー&ジョー・ルッソ監督。脚本は同2作品でルッソ監督とタッグを組んだクリストファー・マルクス&スティーヴン・マクフィーリーが執筆した。
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の撮影現場にて、ジョー監督は『ウィンター・ソルジャー』『シビル・ウォー』に言及しながら自身の製作アプローチを明かしている。
「僕たちは、マルクスとマクフィーリーも同じなんですが、常に製作プロセスを同じように捉えているんです。『ウィンター・ソルジャー』が『シビル・ウォー』に繋がって、『シビル・ウォー』が『インフィニティ・ウォー』に繋がる。同じように、今度の2作品も繋がりますよ。」
しかしジョー監督によれば、『インフィニティ・ウォー』と『アベンジャーズ』第4作は「純粋な前後編ではない」という。
「(2作品には)映画同士を繋げる物語の流れはあるんですが、同時に鑑賞体験やストーリーの行く先という意味では互いに独立しているんですよね。[中略]映画を準備して、製作しているうちに、それぞれがより独立した表現になってきているんですよ。」
もっともマーベル・シネマティック・ユニバースを熱心に追ってきた観客なら、こうしたルッソ監督の言葉が近年のMCU全体に対して言えることに気づくことだろう。なぜなら『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』しかり『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)しかり、MCUにはストーリーがその作品だけで終わらないケースがしばしば存在するからだ。そんな中でクリエイターは作品を独立したものとして仕上げ、異なるテーマとテイストのストーリーを紡ぎ、いずれもユニークな鑑賞体験を観客に提供してきた。
ジョー監督が「純粋な前後編ではない」として「純粋な」という言葉を添えた背景には、こうしたMCU自体が抱える複雑なストーリーテリングの問題がありそうだ。なにせジョー監督は「(第4作で)MCUのストーリーを終えることにした時点で、前後編というコンセプトにはなっていると思います」とも述べているのである。
なお2018年3月現在、『アベンジャーズ』第4作の正式タイトルはアナウンスされていない。これについてジョー監督は以前「(第4作の)タイトルは物語を先取りするようなところがある」と述べており、タイトルそのものが『インフィニティ・ウォー』のネタバレである可能性を示唆している。
映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は2018年4月27日より全国ロードショー。
Source: ScreenRant
© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータ イメージ