『ドクター・ストレンジ』監督、続編降板の理由が一部判明

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の新作映画『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス(原題:Doctor Strange in the Multiverse of Madness)』は、前作を手がけたスコット・デリクソン監督ではなく、『スパイダーマン』シリーズで知られるサム・ライミが監督を務める。2020年1月、デリクソンは監督を降板し、製作総指揮としてのみ企画に残留することが決定したのだ。
『ドクター・ストレンジ』の脚本家であり、デリクソン監督とは創作面のパートナーであるC・ロバート・カーギルは、デリクソンが『ドクター・ストレンジ』続編を離脱した理由を一部明らかにしている。公表された通り、カーギルも「創造上の相違(creative difference)」があったと述べているが、もうひとつの理由はデリクソン自身の企画『黒電話(原題:Black Phone)』にあったようだ。
「(監督には)自分がやりたい映画があり、マーベルは別の映画を作ってもらいたがっていました。彼は“カーギルと最高の脚本を書いたのにな”と言っていて、僕たちは『黒電話』を別の監督に任せるつもりだったんですよ。だけど、電話がかかってきて、“この映画は僕が撮るべきだ、僕の映画にしたい”と。だから(『ドクター・ストレンジ』続編が)終わるまで待ってもらえないかと言うんです。だから僕は、“それほどの情熱があるなら、そうしよう。数年待ちます”と答えました。」
ここに至るまでには、別の経緯もあった。デリクソン監督とカーギルは『ドクター・ストレンジ』の製作後から続編の構想を練っていたが、二人が実際に脚本作業に関与することはなかったのである。カーギルいわく、「彼(デリクソン)は続編にも僕を参加させようとしてくれましたが、それは叶わなかった」とのこと。そのほかにも、『ドクター・ストレンジ』続編に関しては、監督が妥協せざるを得ない状況が生じていたようだ。
「結局は彼の判断になりました。“やりたかったことに妥協しながら続編を作るか、それとも『黒電話』を作るか”と。その時、僕と一緒に映画を作りたい、『黒電話』を作ろうと思ってくれたということです。彼も公に言っていますが、『ドクター・ストレンジ』から離れるのはつらい選択だったと思いますよ。だけど、作りたい映画があったことが楽にしてくれたんです。」
デリクソン監督とカーギルによる新作映画『黒電話』は、ホラー作家ジョー・ヒルの短編集『20世紀の幽霊たち』(小学館)収録の同名短編に基づくホラー作品。イーサン・ホーク演じる殺人鬼に誘拐され、地下室に監禁された少年のもとに、過去の犠牲者・死者からの電話がかかってくる。ブラムハウス・プロダクションズ&ユニバーサル・ピクチャーズが製作を担当し、2022年1月28日に米国公開予定だ。
『黒電話』の撮影は2021年3月下旬に終了しており、カーギルは「作っている映画にはすごく満足しているし、誇りに思っています」ともコメント。マーベル映画を離れ、ホラー映画という原点に回帰した二人による入魂の一作に期待すべし。
Source: Cinema Blend