『デッドプール』監督、続編降板の理由が判明 ─ ライアン・レイノルズ、創作の主導権を握ろうとしていた

2016年、『デッドプール』で“俺ちゃん”ことウェイド・ウィルソン/デッドプールをスクリーンの人気者に押し上げた監督ティム・ミラーは、公開直後の同年10月、続編『デッドプール2』を降板した。後任者となったのは、『アトミック・ブロンド』(2017)のデヴィッド・リーチ。幸いにも続編は好意的に受け止められたが、ミラー監督の降板当時、ファンの間では『デッドプール2』を不安視する声も少なくなかった。
なぜ、ミラー監督は出世作である『デッドプール』シリーズを去ることにしたのか。米KCRWでは、降板報道から3年が経過した今、その真相をストレートに語っている。
「ライアン(・レイノルズ)がシリーズをコントロールしたがっていることが分かったんですよ。監督として、そういう形でも首尾よく仕事をやれる人はいます。だけど、僕にはできない。議論することは良いのですが、そこで自分が勝てなかったものを(監督として)やりたくはないんです。創作面の決断について、すべてを交渉することはできません。数が多すぎますから。それに、ライアンがシリーズの顔であり、最も欠かせない要素だった。だから、彼がコントロールしたいと望めば、そうなるんです。」
ミラーの降板当時、その理由については、ケーブル役のキャスティングについて不一致があった、予算面で折り合いがつかなかったなど、あらゆる噂がささやかれていた。しかし実際のところは、より根の深い相違があったということになる。
「いつも僕は“去っていく”ということが上手なんです。(プロジェクトを)非常に大切にしていながら、自分が決断を下さなければいけない時が来たら、そこから離れるのがすごく得意で。(『デッドプール』の時は)フォックスとミーティングをして、良くない前兆があったので、“わかりました、降ります”と言いました。そうしたら、みなさんがやるべきことをやれるからと。」
逆に言えば、ミラーは監督である以上、すべてを自分でコントロールしたいという発想なのだろう。『デッドプール』の降板後、ミラーは巨匠ジェームズ・キャメロンとタッグを組んで『ターミネーター:ニュー・フェイト』(2019)の監督を務めているが、同作でもキャメロンの介入に大きなストレスを感じたようで、ひとまず現状では再タッグの可能性を否定。その理由は、「自分が正しいと思うものをコントロールできない状況を味わいたくないから」だという。
ちなみにミラー監督の発言から推察するに、おそらく『デッドプール2』は主演・製作のライアン・レイノルズによる“コントロール”で製作されたのだろう。そうだとすれば、そんな作品が好評を受けた以上、ライアンのコントロールは見事に功を奏したことになる。ちなみに、ミラー監督が構想していた『デッドプール2』では、ヒロインのヴァネッサがミュータントになったり、「ファンタスティック・フォー」が登場したりしていたことが明らかになっている。一体どんなストーリーだったのだろう?
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Sources: KCRW, ComicBook.com