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『ウォッチメン』は「時代を先取りしていた、観客が追いついていなかった」と出演者 ─ 「ああいうダークさがあってこそ、『アベンジャーズ』は明るくやれた」

ウォッチメン
© Warner Bros. 写真:ゼータイメージ

“しかし、誰が見張りを見張るのか?” 映画『ウォッチメン』は、アラン・ムーア&デイヴ・ギボンズによるグラフィック・ノベルの金字塔的傑作をザック・スナイダー監督が映像化した2009年の作品だ。

スーパーヒーローが実在する冷戦下のアメリカを舞台に、核戦争突入寸前の世界の緊張の中で暗躍するヒーローたちの陰謀や葛藤が、サスペンスフルに描かれる。クリストファー・ノーランの『ダークナイト』三部作と共に、「ダークなDC」を決定づけた作品と言っても過言ではないだろう。

後に『マン・オブ・スティール』に始まる一連のDCユニバース作品を手がけるスナイダー監督は、この作品でもメランコリックで芸術的な映像を演出。ファンからは絶大な支持を集めたが、一方で「暗い」「わかりにくい」との声は免れなかった。1億3,000万ドルとされる製作費に対して、世界興収は1億8,500万ドルとそう高くない。

『ウォッチメン』はもっと評価されるべき映画だと考えているファンは多いだろう。ナイトオウルⅡ/ダニエル・ドライバーグを演じたパトリック・ウィルソンもその1人だ。「自分の映画で唯一、最初から最後まで観た映画です。あの映画は最高ですよ」と、米CinemaBlendにアツく語っている。

「ザックは時代を先取りしていました。変な話、観客の方が追いついていなかったのです。でも、ああいうダークな映画があったからこそ、『アベンジャーズ』が明るくやれた。僕はそう信じています。」

マーベルは2012年に『アベンジャーズ』をリリースし、明るく親しみやすいヒーローチームの確立に成功した。DCとマーベルの陰と陽のように美しいバランスが成り立つのも、『ウォッチメン』の存在があってこそだと、ウィルソンは考えているようだ。

それからの10年ほどを振り返ると、DC映画は時に「暗すぎる」と批判の対象となることもあった。ところが現在では『ジョーカー』(2019)や『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(2022)がそうであるように、DC映画の硬派でダークな作風は他の追随を許さない魅力を放つようになっている。ウィルソンは「あの映画を今やってみたいですね。もし今やれたら、最高になると思う」とも語っている。

ちなみに『ウォッチメン』劇中でウィルソンは、マリン・アッカーマンが演じたシルク・スペクターⅡと船の中でヒーロースーツのまま情事に耽るという禁忌的シーンを演じている。ウィルソンは「この映画を自分の息子にも見せたいですか」と尋ねられると、「マリンとの船のシーンは早送りすると思う」と苦笑するのだった。

Source:CinemaBlend

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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