ハリー・ポッター魔法ワールド、「仕切り直し」の可能性 ─ 『ファンタビ』の興行不振、大きな改革の動き

ハリー・ポッター魔法ワールドが大きな方向転換を迎える可能性が浮上している。ワーナー・ブラザース映画を管轄するワーナー・ブラザース・ディスカバリー(以降、WBDと表記)の新たな動きが米The Wrapで伝えられている。
WBDは、ワーナーメディアとディスカバリーの事業統合を経て2022年4月に新設された企業。同社のCEOに就任したデヴィッド・ザスラフ氏は、ワーナー製作映画のシリーズ・フランチャイズに対し、全体的な“テコ入れ”を開始し、ワーナーの看板フランチャイズであるハリー・ポッター魔法ワールドも漏れなく対象となっている。
ハリー・ポッター魔法ワールドからは、2016年より新シリーズ『ファンタスティック・ビースト』がスタート。2022年4月には第3作『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』が公開された。しかし、同作は封切り前からクリーデンス役のエズラ・ミラーが逮捕されるという不運に見舞われ、いざ公開されるや興行は振るわず。『ファンタビ』シリーズ最低のパフォーマンスを記録することになり、続編の正式な製作予定も未だに伝えられていない。
こうした経緯もあり『ファンタビ』は現在、シリーズ存続の危機に瀕している。The Wrapが得た情報筋によると、「『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』の興行不振を受け、J・K・ローリングの 魔法ワールドは仕切り直しに向かうかもしれない」というのだ。“仕切り直し”が意味するものは詳しく言及されていないが、原文では「Reset(リセット)」という言葉が用いられていることから、『ファンタビ』をゼロからやり直すという意味にも、魔法ワールド全体をリセットするという意味にも捉えられる。しかし、『ファンタビ』が興行不振という状況で、前者を選ぶというのは考えにくい。
後者の可能性については十分に考えられる。というのも2022年5月中旬、WBDのザスラフCEOは魔法ワールドの新コンテンツ立ち上げを目指し、原作者のJ・K・ローリングとの面会を実施すると伝えられたのだ。もっとも、『ファンタビ』といえばローリングのオリジナル脚本により展開されているシリーズで、当初では5部作構想とされていた。その『ファンタビ』を切り捨てて新シリーズを創造することに、ローリングが簡単に頷くかどうかには疑問の余地が残る。
その中で今後キーパーソンとなっていくのが、WBD映画部門の会長への就任が発表されたばかりのマイケル・デ・ルカ氏とパム・アブディ氏。前会長のトビー・エメリッヒに代わり、2人はワーナー映画製作の舵取りを担うことになる。一方、「マイク(デ・ルカ氏)の大きな役割は、デヴィッド(ザスラブ氏)をリラックスさせ、チームを勝利に導くことだ」との内部情報も得られており、新会長2人はザスラフ氏の意向に則った上での決断を下していくようだ。
Source: The Wrap