【解説】ハリウッドの脚本家ストライキ最新情報、作品への影響まとめ

15年ぶりとなるハリウッドの脚本家ストライキが、2週目を迎えた。全米脚本家組合(WGA)はニューヨークやロサンゼルスで大規模なデモを行い、今後予定されているプロジェクトに影響を与え続けている。
2023年5月2日(米国時間)、ハリウッドの脚本家が構成する全米脚本家組合(WGA)はストライキに突入した。WGAは脚本家の報酬増額や待遇改善を求めたほか、脚本開発に関するAIの導入を危惧して、映画会社やテレビ局、ストリーミング企業などが所属する業界団体Alliance of Motion Picture and Television Producers(AMPTP)との間で6週間の交渉を行っていたが、両者は合意に至らなかった。
ストライキによって米国内では、まず「ザ・トゥナイト・ショー」や「サタデー・ナイト・ライブ」など深夜のトークショーが暗転。ドラマ・映画についても撮影状況が日々報じられる中、「ストレンジャー・シングス」や「デアデビル:ボーン・アゲイン」といった注目ドラマの撮影延期のニュースも飛び込んでいる。これまでにストライキが与えた各作品への影響を以下にまとめる。
「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」シーズン2
イギリスで撮影中の「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」シーズン2は、ショーランナー・製作総指揮・脚本のJ・D・ペイン&パトリック・マッケイ抜きで撮影を継続。WGAのストライキ中はルール上、脚本に携わるプロデューサーはいかなる執筆業務(撮影現場での創作上の決定を含む)も禁じられているからだ。よってペイン&マッケイの代わりに、執筆に関与していないスタッフが残り十数日の撮影を統括しているという。
「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」&「ゲースロ」の新スピンオフ
4月よりイギリスで撮影中の「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」シーズン2も、撮影を継続している。すでに脚本が完成しているため、ストライキによる大きな影響はないとのことだ。ショーランナー・製作総指揮・脚本のライアン・コンダルは、脚本に一切関与しない‟プロデューサー”としての立場のみで撮影現場に残るという。一方、「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」に続く新たな「ゲーム・オブ・スローンズ」前日譚『ダンクとエッグの物語』ドラマ化企画は、原作者ジョージ・R・R・マーティンによって制作中断が発表された。
「アボット・エレメンタリー」シーズン3
エミー賞受賞コメディ「アボット・エレメンタリー」は、5月2日よりシーズン3のライターズ・ルーム(脚本家たちの作業部屋)が招集される予定だったが、ストによって休止。脚本家のブリターニ・ニコルズは、米Democracy Now!に「この番組では放送中に脚本が書かれます。ストライキが長引いた場合、番組を予定通りに放送できず、エピソード数が変更されるかもしれません。視聴者はがっかりするでしょう」と、ストによるエピソード数削減の可能性に懸念を示した。
「コブラ会」シーズン6
Netflixの人気ドラマ「コブラ会」も、最終となるシーズン6のライターズ・ルームを閉鎖。共同クリエイター・脚本家のジョン・ハーウィッツは5月2日、Twitterにて「我々はストライキをしたくないが」と前置きし、劇中のセリフ「強く打て(strike hard)」を用いて「もししなければならないなら、激しくストライキする(strike hard)」とツイート。「『コブラ会』のライターズ・ルームで、鉛筆は置かれました。撮影現場に脚本家はいません。楽しい時間ではないけれど、残念ながら必要なこと。公正な取引が成立した暁には、再び戦いへと戻ってきます。それまで交渉委員会に強さとサポートを送ります」。
「イエロージャケッツ」シーズン3
米Showtimeでシーズン2を放送中の人気ドラマ「イエロージャケッツ」は、シーズン3の脚本作業が1日で中断に。共同クリエイターのアシュリー・ライルは「私たちは『イエロージャケッツ』シーズン3のライターズ・ルームでちょうど1日過ごしたところでした。素晴らしい時間だったし、創造力を掻き立てられて、とても楽しかった。WGAが公正な契約を結び、すぐにでも再開できるのを心待ちにしています」とツイートした。
このほかにも、「アメリカン・ホラー・ストーリー」シーズン12、「セヴェランス」シーズン2、「ビリオンズ」シーズン7、「イーヴィル:超常現象捜査ファイル」シーズン4など、人気ドラマの撮影中断が続々と発表されている。
- <
- 1
- 2