【インタビュー】約40年の時超えて ─ 由美かおるが今こそ語るドラマ「紅い旋風ワンダーウーマン」吹替ウラ話

映画『ジャスティス・リーグ』の公開でますます盛り上がりを見せるDCコミックの世界。中でも、ワンダーウーマンの存在感は抜群だ。ガル・ガドット主演の単独映画『ワンアクション』(2017)の大ヒットも記憶に新しいところ。
ところでワンダーウーマンといえば、往年の海外ドラマファン、DCコミックのファンにとって実写映像化には馴染みがあった。過去には実写版ドラマシリーズが1976年から1977年までアメリカ ABC 系で放送され、第2・第3シーズンはタイトルを『The New Adventures of Wonder Woman』と改めて、1977年から1979年までCBS系で放送されていたのだ。日本(関東地区)では、フジテレビで第1シーズンが「空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン」のタイトルで1977年から1978年まで、第2・第3シーズンが「紅い旋風ワンダーウーマン」のタイトルで1980年から1981年まで放送された。
この「紅い旋風ワンダーウーマン」で、元ミス・ワールド アメリカ代表のリンダ・カーターが演じた主人公ダイアナ・プリンス(ワンダーウーマン)の日本語吹替を演じたのが、日本を代表する名女優、由美かおるさん。この度、ファン待望の「紅い旋風ワンダーウーマン」日本初ソフト化を迎えることを記念し、由美かおるさんがTHE RIVERの特別インタビューに登場。時代を越えて「強く美しい女性像」を体現し続けるワンダーウーマンの魅力や、ドラマ放送から約40年が経った今だからこそ語れる貴重なエピソードを存分に披露して頂いた。貴重な独占カットと共にお楽しみ頂きたい。

「水戸黄門のような勧善懲悪のストーリー」
──約40年の時を越えて、TVシリーズ「紅い旋風ワンダーウーマン」がついに現代に蘇ります。ワンダーウーマンと言えば、2017年8月公開の新作映画の大ヒットも大きな話題となりましたが、TVシリーズが今も変わらず持ち続けている魅力とは何でしょうか。
ワンダーウーマンことダイアナ・プリンスという、精神的にも自立した女性が様々なことを学び成長していく姿が魅力的です。 パイロットのスティーブ・トレバーと出会い、人間の男性を初めて見て、新たな感情が芽生えていく。一緒に悪と戦って、破壊もありながら、最後にワンダーウーマンは人間としての愛に気付くんです。今の世の中は、愛の重要性が改めて必要とされている。「紅い旋風 ワンダーウーマン」は現代にこそ必要とされる作品だと思います。 それに加えて、まさに水戸黄門のような勧善懲悪のストーリーである点も、皆様に愛される理由ではないでしょうか。

──放送当時から時代が移り変わり、女性像の在り方も変化しました。TVシリーズのワンダーウーマンはチャーミングでセクシーでしたが、映画『ワンダーウーマン』での彼女は逞しく、自ら前線に立って戦うような力強いヒーローになりました。時代によって、描かれる女性ヒーローの形が変遷したのも興味深いですね。
やはり、その時代のニーズに合った女性像が求められるのでしょう。自分で決断をして、自分で進んでいく、というのが現代女性なのでしょう。 時代が流れ、リンダ・カーターさんのワンダーウーマンの時代とはまた違った女性像が求められています。あの頃は”古き良きアメリカ”がまだ残っていたから、エレガントで優雅な女優さんが求められていました。現代ではガル・ガドットさんのように、本格的なトレーニングで鍛え上げ、スーパーヒーローになりきってストイックに悪と戦うという強さが求められています。ガル・ガドットさんはそういうオーラが体中から出ている。彼女はパーフェクトです。 映画『ワンダーウーマン』にも、最終的には「愛が大切」という素晴らしいメッセージがありました。これは「紅い旋風ワンダーウーマン」にも結びつく、とても普遍的で大切なメッセージなのです。
──「紅い旋風ワンダーウーマン」は、女性ヒーローが主役のTVドラマとしては史上初めてに近い作品でした。現在、同じDCからは「SUPERGIRL/スーパーガール」という女性ヒーローのドラマがあるんですが、ここにリンダ・カーターさんが女性大統領役として出演されているんです。そういった意味でも「紅い旋風 ワンダーウーマン」は新しい時代への先駆けとなるようなドラマでした。
強くて美人で、周りの人達を引っ張っていくような自立した女性像は、現代にも通用するものだと思います。良い物というのは、やはりどの時代においても話題になります。加えて、正義の味方として悪を断つ、共感しやすいストーリー。すべての要素を兼ね備えた作品だと思います。
「当時、ダイアナ・プリンスのファッションを参考にしていたんです」
──「紅い旋風ワンダーウーマン」は、リンダ・カーターさん演じる主人公のダイアナ・プリンスのファッションも見どころのひとつではないでしょうか。初めの頃は地味な印象だったけれど、回を重ねるごとにファッションが洗練されていきますよね。
だんだんと洗練されていきます。ダイアナに女心が芽生えてきたのかな、という変化を感じるのが楽しかった。ファッションのセンスも良くなっていって、女心ってすごいです。 実は当時、ダイアナ・プリンスの劇中のファッションを参考にしていたくらいです。それから、リンダ・カーターさんご自身も歌手なので、その時彼女が歌っていらした楽曲を、私のステージのオープニング曲にしていました。それくらい「紅い旋風 ワンダーウーマン」のことが大好きでした。
──映画やTVドラマをはじめ、様々な作品に出演されてきた由美かおるさんにとって、海外ドラマに吹き替えで参加されるのは珍しい経験でしたね。
『ミラクル・ガール』(1980)などの主演TVドラマを掛け持ち、『マジック狂時代』(1979)という舞台では女性マジシャンの役で、大劇場でマジックを実際にやっていた頃に、「紅い旋風 ワンダーウーマン」のお話を頂いたんです。私が小さい頃、両親が家で『アンタッチャブル』(1959-1963)や『ハワイアン・アイ』(1963)などの海外ドラマをたくさん観ていたんです。だから海外のドラマ作品には親近感があって、このお話を頂いた時も「嬉しい!やってみたい!」と、大喜びしました。
──日本版オリジナル主題歌「愛の冒険者」も歌われていましたね。
「愛の冒険者」は都会的なナンバーで、大のお気に入り。もう一度改めて再録したいくらいです(笑)。若い頃とは違った、大人の魅力が出せるんじゃないかな(笑)。

「また吹き替えに挑戦してみたい」
──女優として声優のお仕事をされるという取り組みは、当時あまり前例が無かったかと思います。女優と声優、演じる際に違いを感じたことは?
そのままリンダ・カーターさんに心を合わせるように、彼女になりきって吹き替えをしていました。立ち姿も意識して、だんだんと似てきちゃったり(笑)。また、日本語で合わせるためには、表情をいっぱい使って、少し早口に話さないと間に合わない。だからといって、ただ喋ってるだけになっていないか、ちゃんと感情はこもっているかを注意して、収録をやり直すことも。緊張しすぎると舌も回らないので、リラックスしながら自然な演技を心がけていました。
吹き替えで得た経験が、お芝居にも活かされました。外国の役者さんのお芝居は表情豊かで、当時とても勉強になりました。
──今後、『ワンダーウーマン』関連作を始めとしたDC映画の日本語吹き替えに参加したいお気持ちは?
ずっと思っています。今でも挑戦してみたい。合うキャラクターがあれば是非!
──ちなみに、正義の役か、悪役、どちらを演じてみたいですか?
水戸黄門を25年間やっていたので、やはり正義の味方がいいかなぁ。でも、悪役も面白いかもしれない(笑)。
──当時の放送や再放送を観ていたファンにとって、「紅い旋風ワンダーウーマン」で由美かおるさんが声を当てられたワンダーウーマンに、久しぶりに再会できますね。
皆さんの青春時代に戻った気持ちで、「紅い旋風ワンダーウーマン」を楽しんでいただきたいです。私自身も当時の色々な出来事を思い出しました。約40年前を思い出し、良きアメリカ、良き日本、良き時代を再び感じて頂ければ嬉しいです。
──映画『ワンダーウーマン』を観て、初めてワンダーウーマンのファンになった若い世代の方々もいらっしゃいます。そんな方にも「紅い旋風ワンダーウーマン」を楽しんで頂きたいですね。
そうですね。若い方たちには新鮮に感じられることもあると思います。
──では最後に、TVシリーズ「紅い旋風 ワンダーウーマン」ならではの見どころや、注目して観ていただきたいポイントは?
リンダ・カーターさんのキュートでエレガントな姿です。とても安心してゆったりと観られる作品です。小さい方からご年配の方まで、どなたでもお楽しみいただけると思います。

(取材・構成:Naoto Nakatani)
「紅い旋風 ワンダーウーマン」発売情報

ドラマ「紅い旋風 ワンダーウーマン【前編】」DVDは、2017年11月22日(水)より発売。デジタル配信も同日スタートする。封入特典には、超レアなお宝ブロマイドが封入予定。ファン待望の日本初ソフト化となり、日本未放送エピソードを含む全60話(サード・シーズンまで)が順次リリース予定だ。※一部放送用にカットされたシーンは日本語字幕に切り替わる
「紅い旋風ワンダーウーマン(前編と後編)」では、由美かおるさん&ささきいさおさんによる豪華日本語吹き替えも収録。
2017年11月22日『紅い旋風ワンダーウーマン 前編(DVD5枚組)』 25,000円(税別)
2018年発売予定 『紅い旋風ワンダーウーマン 後編(DVD6枚組)』 25,000円(税別)
※変更の可能性あり
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
WONDER WOMAN and all related characters and elements are trademarks of and © DC Comics. © 1975, 1976, 1977 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.